女の子を雇いました。
まずは女将さんに相談だ。
「すいませーん。」
「なんだい?夕食の時間はまだだよ。」
「いえそうではなくてですね、少し聞きたいことがありまして・・・。」
「どうしたんだい?少しくらいなら大丈夫だよ。」
「さっき連れてきた子がいるのわかりますよね。」
「あぁ、あの子かい。あんたの奴隷かなんかかい?」
「いえいえ、奴隷なんかじゃありませんよ。ただ雇って欲しいとと言われたもので。それでですね。ここら辺の事詳しく知らないので教えてもらえないかと思いまして。」
「なるほどね。その子は家族とかいないのかい?」
「いないそうですね。」
「そうかい。まぁ奴隷でないのなら普通に仕事の説明してそれに見合った給金を与えればいい。」
「なるほど。お金をあげるだけでいいんですね。」
「まぁでも家族がいないなら身の回りのこともやってあげるのが男ってもんだけどねぇ。」
「・・・まぁそうですよね。」
「部屋が一緒でいいなら宿代はそのままでいいよただし食事代はもう一人分もらうことになるがね。」
「・・・ですよね。」
なんか女将さんにはめられた気もするがしょうがない。
「そうだね。2000ポルでいいよ。あとこの毛布を持っていきな。」
「ありがとうございます。」
追加で大銀貨を二枚渡し毛布を受け取る。
この世界では風呂は貴族の屋敷などにしかなく、水浴びか体をお湯で濡らしたタオルでふいて綺麗にするのが普通らしいので二人分お願いしといた。これはサービスでやってくれるらしく、後で持ってきてくれる。他にも給金の相場などを聞いて部屋に戻る。
「ごめんね、待たせちゃって。」
「大丈夫です・・・。」
「取り合えず君を雇うことにした。」
「!!!。ありがとうございます・・・。」
「けれども正直君にしてもらうことがない。」
「ではなにをすればよいのですか・・・。」
「僕と一緒に冒険者としてダンジョンに潜ってもらう。」
「ダンジョンにですか・・・。」
「うん。そこで君が一人で生活できるようになるまで面倒を見るよ。」
「ひとりで・・・。」
「そうだよ。一人で生活できるようになったら雇うのは終わりだ。」
「そんな・・・。」
「僕も君をずっと雇うことはできないからね。でも一人で生活できるようになるまでの協力はできると思う。だからそれでどうかな?もちろんダンジョンに潜るための装備はこっちで用意するしご飯も寝るところもこっちで用意するよ。そのかわりお金はあんまり払えないけど。」
「わかりました・・・。お願いします・・・。」
「うん。じゃあこれからよろしくね。」
女の子を雇ってしまった・・・。雇うと言っても独り立ちできるまで支えてあげるだけだけど。さすがにここまで関わって放置とかできないもんな。
「ご飯まで時間あるし、装備品を買いに行こうか。服もそのままじゃまずいだろうし。」
「ありがとうございます・・・。」
私には誰もいない。家族も知り合いもいない。いや両親は居たがいつの間にか私の前からいなくなってしまった。捨てられたのだろう。この街にきたのも私を捨てるためにきたのだろう。何も知らない街で私は独りぼっち。二日もまともにご飯を食べることが出来ていない。さすがにもう限界だった。私がなにをしたのだろうか?ただ普通に生きてきた。親の言うことを聞いてわがままを言うこともなかった。なのに・・・それなのに・・・。
私はここで死んでしまうのかもしれない。それは嫌だ。死にたくない。
生きたい。でも私に出来ることはない。体を売ることしか・・・。
・・・生きるためには仕方がない。この体を売ってでも・・・。
怖い。体が震える。
それでもやるしかないのだ。
冒険者なら私を雇ってくれるかもしれない。
誰か私を助けて・・・。
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