冒険者ギルド
宿屋の女将さんにどこに冒険者ギルドがあるか聞いた。口頭の説明だったが大体の場所はわかった。ついでに時間の事も聞いた。少しおかしな顔をされたが現在の時間と時計の時間は合っていた。このまま使えるだろう。
説明された通りに道を行きなんとか冒険者ギルドにたどり着くことが出来た。歩いて10分位だっただろう。入口には交差した剣のマークがあり、下に冒険者ギルドと書かれている。中に入るとテーブルでごつい男たちがワイワイと昼間からビールのようなものを飲んで騒いでいる。
冒険者ギルドは中央にカウンターがあり、受付嬢がいる。左側には掲示板と売店、買い取りのカウンター、右側には食堂がある。いかにもと言うかイメージ通りのような場所だ。
取り合えず中央のカウンターへ向かうことにした。
「すいません、冒険者になりたいのですが。」
「はい、冒険者登録ですね。身分証はお持ちですか?」
受付嬢が笑顔で対応してくれる。年上っぽいが普通に可愛らしい人だ。
「仮のやつなら・・・」
「では、そちらをお願いします。」
街に入った時に門番からもらった仮の身分証を渡す。
「では、すいません。こちらの水晶に手をかざしてください。」
そう言って受付嬢はカウンターの下から綺麗な占いで使うような水晶を取り出した。
「これは?」
「これまで、犯罪を犯していないか確認する魔道具です。仮の身分証だと少々手続きが面倒なのですがお付き合いください。」
いきなり犯罪してないか鑑定するのか。まぁ大丈夫だろう。
手をかざしてみると水晶が白く輝いた。
「はい、ありがとうございます。特に問題はありませんね。では、このカードに血を一滴たらしてもらえますか?」
今度は真っ白いカードと針を渡された。
「これに血をたらすんですか?」
「はい、お願いします。」
マジか、針とは言え痛いのは嫌なんだけどしょうがないか。
左の人差し指に針を刺し血をカードに一滴たらす。すると、血はカードに吸収され、シミひとつ残さず消えた。
「ありがとうございます。では、カードをお預かりしますね。少々お時間をいただきます。その間こちらをお読みください。冒険者の簡単な説明になります。」
受付嬢から小冊子を受け取る。その中には冒険者についての説明が書かれていた。
冒険者はF~Sまでのランクがあり、カードの色が白<紫<橙<緑<青<赤<金と変わっていくらしい。ランクを上げるにはクエストをいくつかこなすか魔獣を倒すことによって上がる。クエストは難易度によってポイントが決まっており、魔獣も強さのランクによってポイントが決まっている。その合計のポイントによってランクが上がっていくシステムだ。クエストのポイントはギルドでクエスト完了の報告をした時に加算されるが魔獣は倒した瞬間に加算される。Cから上のランクに上がる時には、ポイントだけでなく特別なクエストをクリアして実力を見せないと上がらないそうだ。なので、Bランク以上の冒険者は一流と呼ばれ、CとBランクの間には大きな差があるらしい。
他にも魔獣の弱点など書かれていたが大体のことはわかった。自分の目的はお金を稼ぐ事なのでランクは正直どうでもいいが、ランクが高いと色々と特典もあるし、それなりの報酬がもらえるクエストも受けられる。ランクが低いとできるクエストは少ないし、報酬も少ない。なので少しは上げることも視野に入れておこう。
「お待たせしました。」
などと今後の予定を決めていると手続きが終わったようだ。
「ではこちらのカードをお返しします。あと仮の身分証はこちらで処分させていただきますね。これからはそちらのギルドカードが身分証となります。再発行には別途料金がかかるので無くさないようにしてくださいね。」
「わかりました。」
「小冊子をしっかり読まれていたようですが冒険者の説明はお必要ですか?」
「大丈夫です。」
「そうですか。では、何か質問などはございますか?」
「そうですね。えっと・・・この後ってどうすればいいですか?」
「初めはFランクのクエストを受けてランクを上げていくことが普通ですが、この街はダンジョン都市なので、そちらで魔獣を倒してランクを上げる方が多いですね。ドロップ品を売れば収入にもなりますし。」
「なるほど、では自分もそうすることにします。」
「ダンジョンはいくつかありますが最初はここから一番近いアリエスと言うダンジョンがよろしいかと。」
受付嬢がおすすめしてくれたダンジョンの場所を詳しく聞く。
「ありがとうございます。では失礼します。」
「はい、お気を付けてくださいね。」
受付嬢が笑顔で送り出してくれる。早速ダンジョンに向かいたいところだが何かしら武器が欲しい所だ。バイクのスキルがあるとは言え、守ることは多分大丈夫だろうが倒すことが出来るとは限らないし、さすがに手ぶらは心許ない。バイクもあまり人前で出して目立ちたくないしな。
武器屋にでも行くか。
誤字脱字ございましたら教えてください。
感想、評価お待ちしております。