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次なる目標

「これは……驚いな」

「……(コクコク)」

「えらい能力やな……これ」

「あはは、これで貸し一つだね」


女神との分離を終えた三人からそれぞれ驚嘆の声が聞こえる。

女神たちは全員知り合いなようでサリアが対応していた。


『感謝しなさいよね! 私のおかげでこうして無事に分離できたんだから!』

『……竜二と別れたくなかった』

『まぁまぁ落ち込みなさんな。あの子昔から言ってた子よね? これで結婚だって夢じゃないわよ?』

『……サリアはかしこい』

『騙されちゃダメだよ、メティス。あのねボク、主任から《すべての責任はサリアさんにあります》って言われたんだけど?』

『あたしもよ。キッチリと説明してもらおうじゃないの。ねぇサリア?』

『ええ、そうね。私は賢い、私は賢い』

『『話をそらすな』』


サリアが涙目でこちらに助けを求めてくる。どうやらピンチのようだ。


「どうして廣瀬ひろせさんはペルシャさんにそっくりなの?」

『どうして無視するのっ!? 助けて、助けてよっ! 私たち長い間連れ添ったパートナーじゃない!!』

「君と過ごした二時間、楽しかったよ」

『ああっ! そんなにフラグ立てないでよ!』


女の子のケンカにかかわってはいけない。あちらはサリアに任せるとしよう。

そんなことよりも気になるのは彼女の容姿だ。


「あぁ、これな。『虚偽之神ヘルメス』の能力でペルシャに変装してんねん」

「変装特化の能力か。応用が利きそうな能力だな」

「見分けがつかない」

「そうだね。ちょっと困るかも」

「ほな、これで。どやっ!」


一瞬にして髪をオールバックにする廣瀬ひろせさん。あれ? ということは、もしかして……


廣瀬ひろせさんは男の子なの? でも、ウチって確か女の子の言い方だよね?」

「せっかく転生したし新しい人生をって思ってな、ペルシャの顔だけかりてんねん。性別は男やで。体も男のまま。面白おもろなかったら人生損やしな!」


そう言って可愛らしく笑う廣瀬ひろせ君。ペルシャさんと同じ顔だから少しドキッとしてしまう。


「そろそろ暗くなってきたし町に戻るか」


神藤しんどう君にそう言われて辺りを見渡すと、町は夕日で赤く染まっていた。走り回って町の外れまで来てしまったようだし早くセピアさんのお店に戻らなくちゃ。


「あれ? サリア妙にご機嫌だね?」

「ええ、天使に嵌められたって言ったらみんな納得したのよ」

女神の中で天使はどんな扱いを受けているんだろう?


「……竜二、私たち結婚できるみたい」

「それは良かったな。幸せになれよ」

「……うれしい」

「念のために言っておくが今のはプロポーズじゃないぞ」

「……竜二は照れ屋さん」

メティスさんは如何にも知的という言葉が似合う。一切の乱れのない黒いロングの髪の毛は見ていてうっとりするほどだ。あれ程の人ならもっと他にいい人がいるはずなのに……


「これでのびのびと拓真君をからかえるね」

「お前のセクハラは酷すぎる」

「そんなこと言って〜、ずっとドキドキしてたのボク知ってるよ?」

「───ッ!!」

エリナさんは如何にもボーイッシュって感じだけど、その、他の人よりも肌の露出が多いので目のやり場に困ってしまう。自分の魅力をもっと自覚した方がいいと思う。


「あんた、あたしの格好サッサとやめなさいよ。紛らわしいじゃない」

「え〜、可愛いしオールバックやから見分けもつきやすいやん。な、お願いやって!」

「カワイイ……。そうね、今回は特別に許すけどその格好で変なことしたらタダじゃおかないわよ」

ペルシャさんは可愛らしさと美しさを兼ね備えている。だから二人が並ぶとすごく絵になるんだけど……。ペルシャさんよりも廣瀬ひろせ君の雰囲気が柔らかく見えるのは気のせいだろうか。


「ねえ、圭。喉渇いたんですけど」

「そう言われれば僕も。結構走りまわったからね」


喉を潤そうにも周りに水場はない。当然バイト代ももらってないからお店で買うこともできない。

さて、どうしたものか。


「圭が水を出してくれたらいいじゃない。能力を使って。イメージするだけでいいんでしょ?」


まるで簡単なことのようにサリアが言ってくる。

でも確かに能力を使えこなせないのは問題だと思う。練習がてらにやってみるのも面白いかも知れない。


「えっと水をイメージして、それが現実になるイメージで……」


おぉっ! ちょっと出てきた。

この調子で量を増やしていけば……


「はいっ! サリア! 水ができたから飲んでみてよ」

「どうして私があんたの手からにじみ出た水を飲まなきゃならないのよ!!」


出せと言われたから出したというのに。

頼んどいてその言い方はないだろう。


「何さ! 自分だって出来ないくせに!」

「何言ってるの? 水くらいすぐに出せるわよ。ほらっ! 悔しかったら私の目の前に家の一つでも出してみなさいよ。このままじゃ私たち宿無しなのよ」


ぐぬぬ……。ここまで言われて黙っているなんて男じゃない!


「見てなよ! 僕が暮らしてた家をイメージして……」

『ぬおっ! 何故急に道の上に家が!?』


神藤君の驚いた声がする。どうやら成功したようだ。

これでサリアも文句は無いだろう。


「屋根は無いし周りの壁もないじゃない。これじゃ家と言うより部屋ね」


……文句しかなかった

家具などの日用品や漫画なんかも再現できていたから完成度は高いんだけど彼女には不満が残るらしい。

仕方ないので次の目標は家探しだ。だけど家賃はどうしようか。僕は働けないし……


「サリアは今何歳なの?」

「デリカシーないわね、あんた。まあ、圭よりは年上だけどね」


やはりそうか。ならば取る手段は一つしかない。

どうやら各々会話を聞いていたらしく他の三人も真面目な顔つきなる。

僕たちは精一杯の誠意をこめて彼女たちに向けて言い放った。


「「「「養ってください」」」」


働くことができないならば養ってもらうしかない。

プライドも全て投げ捨てた僕たちのコトバ……

返ってきたのは無慈悲な『右ストレート(ゴット・ブロー)』だった。

サブタイトルのカタチを変更します。

すいません。

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