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出会い

──なんであいつは()のことをおいかてくるんだ!?──


町中を駆け回る俺たちを見る周囲の視線が痛い。できることならその視線は奴だけに向けられているものだと信じたい。


「おいテメェ、さっさと止まりやがれ!」

「イヤだ!! 君が誤解を解いてくれるまで僕はあきらめない!」

「あぁ、その誤解ならもう解けた! だから落ち着けよ。」

「嘘だ! 本当に誤解が解けたならその足を止めてくれるハズなんだ!」


くそ、間抜けな顔しているくせに頭の働くやつだ!

どうにかして奴から逃げ切らなければ!

大体どうして俺が追いかけられなきゃならないんだ!



5分ほど前 俺は間の抜けた声によって呼び止められた。


「あっ、あのね。 君。」


はぁ、またか。

先ほどから何度か呼び止められては度々宗教の勧誘をされていた。

どうもこの町には宗教の派閥が多いらしい。

うんざりしているが、この手の話はハッキリと拒絶の意思を示さなければ解放してくれない。

断るために振り返って男の姿を見てみる。

振り返った俺に笑顔を見せたその男は今まで声をかけてきたどんな奴らよりも異質だった。


全身を覆う黒いローブ、右手に持つ見たこともない骸骨。


俺はこんな格好をした奴らをインターネットで目にしたことがある。 

──サバトだ。

この宗教にだけは絶対に関わってはいけない。

俺は自身が鳴らす最大音量の警鐘を素直に聞き入れ、全速力で走りだした。



どうなっているんだ? たかが宗教関係の人間が一個人にここまで執着するとは思えん。

まさか、俺が転生者だと知り、儀式の材料にしようとしているのか!?

ふと湧いてきた根拠のない疑問は俺を奮い立たせるのに十分な材料だった。


「つかまってたまるかーーー!!」

「えぇーーーー!?」


後ろからサバトの声が聞こえる。さっきから独り言をいっていたようだがこれは俺に対しての返事のようだ。

しかし、そんなことを構ってはいられない。

 

── メティス、力を貸せ!──


メティス、俺の転生を担当した女神だ。 上司によって俺と一緒にこちらに飛ばされたらしい。


──おい、どうした? メティス!──

返事がないことにイラついて声が荒くなる。

そんな時ブツブツと小さな声が聞こえてきた。


《…………竜二と2人……愛の逃避行……》


…………何を言っているんだ、こいつは? 理解できず一瞬思考が停止する。次いで足も。

その隙を突かれサバト野郎が俺の肩を掴んだ。


「や、やっと追いついた……」

「チッ! さっきから追いかけてきやがって。どういうつもりだ、テメェ!」


大きな声をだして威嚇してみる。案の定こいつには効かないみたいだ。

そして何事もなかったように話しかけてきた。


「あのさ、君、女神と一緒にいるでしょ?」



彼から間抜けな声が出る。

少し間が空いてから真剣な顔で僕の言葉を待ち始めた。どうやら状況が理解できたようだ。


「あのね…………」


考えたら話す内容を決めてなかった。追いかけるのに夢中だったからなぁ。


「どうした? 早く話せ」

「えぇっと、女神との分離のことなんだけど」


話を繋ごうとしてさっきから考えていたことを口にする。

すると見知らぬ二人が声をかけてきた。


「……その話少し待ってほしい」

「やっと追いついた。速すぎんで、自分ら」


一人はメガネをかけた寡黙そうな男の子。もう一人は関西弁を話す美少女だった。

呆気にとられる僕にサリアが助言してくれる。


《あの子たち、女神持ちの残りの二人ね。ねぇ、早く分離しなさいよ》


さっきから話しかけると分離をかしてくる。

まったく、少しは辛抱というものを覚えてほしい。

こんな時は彼らのことを知るためにも自己紹介でもすべきだろう。そう思い、話し始めると彼らも続いて自己紹介してくれた。


「俺の名前は神藤竜二しんどうりゅうじ。 能力は『知略之神アテナ』だ。 女神の名前はメティスと言う。 お前らが転生者だということも踏まえて話した。 人を助けて死んだやつらなら裏切らないと思ったからだ」


身長は180cmくらいあるのだろうか。かなり体格がいい上に彼は相当頭が切れるらしい。 能力も賢そうだしな名前だし。


松浦拓真まつうらたくま。能力は『機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ』。女神の名はエリナ。よろしく頼む」

「ウチは廣瀬ひろせみずきや。能力は『虚偽之神ヘルメス』。 女神の名前はペルシャ。 よろしゅうな」


自己紹介が終わり軽く雑談をしてみる。同じ境遇の人として是非とも仲良くなっておきたいからね。

緊張がほぐれてきたところで本題に入ろうか。


「女神との分離のことなんだけど、みんなはどう考えてる?」

「……正直俺の能力では厳しい」

「右に同じ」

「ウチもやな」


やはりそう簡単なことではないようだ。

しかし、僕たちには秘策がある! 走りながらサリアと相談し完璧な計画をたてたのだ!

ここは一つパパッと分離していいところを見せようじゃないか!


──サリアさん! 派手にやっちゃってください!──

《任せなさい! 圭の脳ミソじゃ出来ないことも私にかかれば楽勝よ!》


サリアの話によると転生に似たやり方らしい。なんでも肉体を再構築してそこに魂を入れるとかなんとか。

ここで必要となるのが僕の『全能神ゼウス』の力だ。この能力は知識と想像力が肝心らしい。

新しく物を創り出す事も出来るようで、その力の応用で肉体を作るんだって。

ついでに僕の体も17歳に戻しておこう。

これは17歳の自分をイメージするだけでいいので簡単だ。

本当は18歳以上にしたいけど想像できないので能力が使えない。


ふと身体が軽くなる感じがする。

横を見るとそこには涙を流して喜ぶサリアの姿があった。


「ぐすっ! 圭、よかったよ〜」


本当に良かった。このまま心が読まれ続けてたら危ないところだったからね。

"青春という枠から溢れ出た欲望"は誰にも知られるわけにはいかないのだ。

いつまでも泣き続けているサリアを説得する。

さぁ驚いている3人も分離させてあげなくちゃ。

変な書き方になってしまった。申し訳ありません。

2016 4/11 修正しました。

      みずきの一人称をワイからウチに変更しました。

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