第5話 転校生
ドラ●もん的アイテムのアイデア募集中。
ただし、ドラ●もんやそれに準ずるアニメや漫画の道具はダメです。
オリジナリティのあるアイテムでお願いします。
翌日の早朝。
オレは眠り眼を擦りながらも、ダラダラとした足取りで洗面所の前へと行く。そして、たどり着いて、ある癖を発生させる。
「誰かいるか?」
洗面所と風呂場が共有していて、有希がたまに朝シャワーとかするし、その有希が裸のまま洗面所にいたのを見てしまったという体験があったので、色々と用心しなければならない。
洗面所と脱衣場、それに洗濯機も一緒のスペースにあるので、風呂に入る以外にも裸になる機会があるという訳だ。洗濯するついでに身につけている衣類もやっちゃえみたいなノリでな。
「私だ。私がいるぞ?」
ガチャリと洗面所の扉を開き、苦虫を噛んだような顔でピンク色のパジャマを身に纏っている有希が登場。
「誰だ?」
「え?記憶喪失なの?自分が誰だか分かる?」
オレのボケが分からなくて、こてんと首を傾げ、通常の真顔に変わり、上目遣い。
「分かるから・・・本日付けで家族が一人増えた事もな・・・」
オレは記憶喪失にはなっていないと説得し、有希は口を尖らせて『ふぅん』とのほほんとした声で相槌を打つ。
「えっと、潤はまだ寝ているの?」
有希は再び首をこてんと傾げ、潤の状態を聞くが・・・何故オレがアイツの面倒とか状態を分かると思ったのか知らんが、オレは知らないと答えた。
「ふぅん。意外とのんびり屋さんかな?」
「さあな。まだ学校が始まるまで時間あるしな・・・それで、登校しなきゃいけない時間になったら、有希がアイツの面倒見てやってくれ」
「何で?」
有希は三度目の首を傾げる仕草を見せるのだが・・・少しぐらいは自分で考えて欲しいものだ。
「・・・同じ女子だし、アイツも気兼ねなく何でも有希に頼る事も出来るだろうからな」
「そうだね~。じゃ、そうしてみるねっ」
「おう、頼むな。有希」
これにて潤の保護者はとりあえず有希に託してやった。何だかんだでオレは面倒くさがり屋だしな・・・
当初の目的である洗面所へと入り、顔を洗って寝癖を直し、イケメンでもブサイクでもない所謂、フツメンのオレの顔を鏡で確認。オレの表情はいつも真顔で、クラスの連中には証明写真でも撮るの?みたいな言葉を耳にするが、そんなつもりはない。
泣く時は泣くし、怒る時は怒るし、人間らしいオレなのだが、友人や家族には普通に真顔で接する事が癖だが、相手はオレの真顔に慣れているらしいので、気にしていないらしい。
そんな真顔のオレはリビングへと向かって行ったのであった。
リビングに着き、ソファーに座り新聞を広げて読んでいる父親の姿を発見。挨拶も交わさず、ソファーに座るオレ。
「こら、挨拶せんか」
朝っぱらから説教されるオレ。仕方なく弱々しい声で挨拶し、父親は豪快に、わははと笑い挨拶を交わしてくれた。
「で?あの潤とは、どういった関係だ?恋人か?」
いきなり恋人か?と言われたオレ。傍から見られたら恋人以上の関係しか見えないだろう、何故なら、同棲しているからだ。しかも家族公認でな。
「残念ながら、違う」
「そっか。結構、お似合いのカップルだと思うし、お前も高校生だから彼女の一人や二人欲しいだろう?」
「・・・二人はいらねぇよ。一人で十分だし、一人でもソイツを幸せにする事すらも苦労するだろ?父さん」
「わははっ、違いないっ」
彼女が出来た経験が無いのに、どの口がほざくか、と自分でもツッコミを入れたくなるが、今目の前に体験者がいる。そう、父親だ。この人と母親が出逢わなければオレや有希は存在していないのだから。少しだけ感謝してやってもいいぞ?両親よ。
「今日から、アイツは転校生か~・・・すっげぇ、クラスの連中は盛り上がるだろうな・・・」
オレは、ふと思いついた言葉を口にしてしまった。あ、ちなみに、潤が転入するクラスは知らん。それとオレがいるクラスは一年一組の教室だ。
「あ~・・・そうだな。春になって少ししか経っていないのに、すぐに転校生として来るんだもんな。確か、今は四月の中旬くらいだったけか。そんな事よりも、あんなにかわいいしな」
父親はニンマリと笑い、天井を見上げる。はぁ、どうしてこうも父親とは娘が出来ただけで幸せそうになるのだろうか?オレが大人になるまで答えを知らないだろうな。
「・・・かわいいだけならいいがな」
オレはそう呟き、食卓に向かう為にソファーから立ち上がったのであったーー。
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朝食や着替えを済ませ、有希と潤とで一緒に学校へと向かって行った。有希の中学校とオレの高校の道のりはほぼ一緒なので、いつも一緒に通っている訳だ。
オレは、藍色のブレザーにズボン、それと赤いネクタイを締め、黒色の鞄と軽音楽部に必要なギターを入れているギターケースを所持し、学校へと向かう。
一方、潤は、上半身は男子と同じだが、下半身は黒いスカートを身に纏っていた。鞄もいつの間にか自分で用意したらしい。
有希は、中学生だから黒一色のセーラー服。それ以上でもそれ以下でもないな。
「んじゃ、私はこの辺で」
有希と別れ、オレと潤とで学校へと向かっていくのだが・・・潤は、オレの隣に並んで足を運んでいたのだ。
「なぁ、もうちっと離れてくれないか?」
「へっ?!な、何で?!」
潤は顔を真っ赤にさせて、目をキョロキョロと動かし、両手を胸の前にブンブンと左右に振り、離れたくはない、みたいな反応を示す。お前は猫か何かか。
「・・・やっぱ、いいわ。好きなようにしてくれ」
オレは色々と諦め、前へ前へと歩を進めていくと・・・
「おーい!我が親友の九重やーい!」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。声から察するに、桐島だが・・・他の歩行者達がチラチラと見てくる・・・目立つような事しやがってあの桐島が・・・
「あ、あの・・・優を呼んでいる人がいるんだけど・・・」
潤はオレの名を言い、桐島が呼んでいると伝えるのだが・・・いや、オレの名を好きに呼んでもいいが、顔が近いぞ潤。覗きこむようにオレを見るな。それと、とりあえず、アイツの紹介をしてやるか・・・ありがたく思えよ?桐島よ。
「へぇ、アレが見えるのか?アレはな、妖精なんだ」
「よ、妖精?!」
「ああ。アイツに語りかけられて、何かしらの反応を示したら、不幸になるらしい。どんな不幸になるか知らんが、とにかく無視する事だな」
「う、うんっ!やってみるっ!」
潤はオレの桐島の嘘情報を真に受けて信じ切って、両手をグッと握りしめ、やる気を見せる。ってか、マジで信じているのか?こいつ・・・
「おや?おやおやおや~?九重殿!九重殿!その麗しいお方はどなた様ですか~?ウチの高校の女子の制服だけど、見かけない顔ですぞ~?九重殿!」
オレ達の計画を知らない桐島は、オレの隣にいる潤をジロジロと見つめ、変な口調で喋る桐島にイラつくオレ。
「「・・・」」
オレは無言。そして、潤はオレの言いつけにより、無言。ただただ前へと向かう。
「無視かよっ!あ、ねぇねぇ、キミ、何て名前なの?教えて~っ」
「・・・っ!」
桐島は変な口調を止め、今度は潤に接触。怖がってしまったのか、オレの背に回り、オレの袖を掴み、プルプルと震えてしまっている。うむ、それはそれはいい仕草だぞ?潤よ。しかしだな、その行動は人前ではしないでほしい。特に桐島の前ではな。
しかし、その桐島が目の前にいる訳なので・・・
「あーっ!!九重、てめぇー!彼女いない歴イコール自分の年齢の組織を裏切るつもりかーっ!」
ギャアギャア騒ぐ訳だ。とりあえず、他の歩行者の目線が痛い訳なので、桐島のスネを思い切り、蹴り上げてやったのだ。
「ギャアーっっ!いってぇぇぇー!」
桐島は地面に倒れ、スネを押さえつけて、のたうち回る。これを機に、潤の手を繋ぎ
「逃げろっ!」
「へ?う、うんっ!えへへっ」
逃げた。だが、手を繋いでしまったが・・・まぁ、いいや。有希と仲がいいし、それによって女子の免疫はついているからオレは大丈夫なのだが・・・潤はどうなのだろう?しかし、人がどう思おうが知ったことがないので、そっとしておいたのであったーー。
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学校に着き、シューズに履き替え、潤を職員室へと連行し、そこで別れてやった。
そして、一年一組の教室に行き、オレの席である窓際の席に座り、机にダラッと身体を預けて、昨日今日の疲れを癒すようにした。別にそこまで疲れている訳ではないが、何となく疲れたからだ。
視線を教室全体を見渡すと男子と女子が少々集まり雑談しているのを目撃。もちろん、その中には昨日告白してフラれた相手である濱田利香がいる訳なのだ・・・すげぇ気まずいよ~。何とかしてくれぇ~・・・
「こぉ~こぉ~のぉ~えぇ~っ!」
オレの願いは天に届いた。教室の扉が開き、オレの救世主が現れた。その名は・・・桐島だ。
その桐島は、ずんずんとオレの近くへと近寄り、オレの机をバーンと手で叩き、クラス全員の視線を集めた桐島。こら、わざわざ注目を集めるんじゃあねぇぞ。
「おぅ、ワレ。さっきのお嬢ちゃんは誰だったんじゃい。キチンと訳を言ってもらうぞ?コラ」
桐島はチンピラみたいな口調で文句を言うのだが・・・いちいちキャラ変えるアホにムカついてオレは頬杖を付いて
「そんな態度するなら言わん」
それだけを伝え窓の外に視線を移す。
「ごめんっ!本っっっ当にごめんっ!謝るからっ、教えてくれっ!」
桐島は深々と頭を下げて謝罪。他の連中の視線がキツい・・・オレが悪いヤツみたいな空気になってきたので、本当の事を言ってやった。
「・・・あの女の子はな、今日からこの学校に転入するだとよ。まぁ、簡単に言えば、転校生だな」
「え、え、えー!!て、転校生ー?!!」
桐島はわざわざ叫ぶ。それに転校生という単語を耳にしたクラスの皆はオレの元へと近寄り・・・
「え?え?転校生が来るの?」
「本当か?」
「男?女?どっち?」
男女問わず、オレの周りに集まり、クラス全員集まっていた。もちろん、濱田利香もだ。オレは濱田利香の存在に気づいたのだが、視線は濱田利香に向けずに、気づかないフリをした。
「オレらと同じ十五歳で、性別は女の子で、一年のどこかのクラスに転校生として来るだとよ」
オレは、ある程度の情報のみクラスに伝えた。すると、クラスはざわつき、オレを見つめる。何なんだ?オレの顔に何かついているのか?
「な、なぁ。何でそんな情報を持っているんだ?」
とある男子がオレに質問。オレは正直に話すつもりは毛頭無い。ってか、その女の子と家族公認で同棲しているんですよ~なんて事は口が裂けても言えないのだ。
なので、適当に話す事にした。
「その女の子が、道が分からなくなったらしく、たまたまオレが近くにいたから、オレが道案内したって訳だ。それで、その情報をその女の子が話してくれたという訳だ」
すると全ての男子の目がキッとして、オレを睨む。はぁ、たかだか道案内しただけだというだけなのに、そんなに怒る事なのか?
「ちくしょう!う、うらやましいっ!」
「お、俺が道案内してあげたかった!」
「いいなー!なんで九重ばっかり、いい目に遭うんだー!不公平だー!」
「そうだそうだー!今日の転校生の事はともかく、部活の時だってー!」
「くそっ!くそっ!その運をくれー!」
男子諸君はギャーギャー喚く・・・あ、そうそう、部活の話はまた後ほど語るので、待っておけ。だが、別に大した事ないから、期待はするなよな?
閑話休題。
男子諸君は、目を血走らせて、オレを睨み、オレに向かって暴言を言ってくるまでに暴走し、オレは窮地に立った。
オレの、ぼのぼのした学生生活はここまでか、と思ったその時、思いもよらぬ救世主が、オレを守ってくれるのであったーー。