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俺はチート能力で日本を救う(仮)  作者: オーレリア解放同盟
第二部 第二次極東戦争編
19/29

#18 海聖の消失

――――――進級してから1週間後の4月14日


「海聖っ!!」


「悪い!!」


「まだ何も言ってないじゃない」


どうせ、この時の返答ぐらいわかってる。“一緒に帰ろう”だろ?


「わかるんだよ。お前とどれだけいると思ってる?それに、この時間帯に言うセリフなんてそれぐらいしかないだろ?」


SHR終了。つまり放課後だ。部活も委員会も入っていない俺達にとって帰る位の選択肢しかないのだ。成績底上げのために体育で筋力増強したり、あらゆるスポーツ選手の動きを見て、それに見合う動きになるように脚部を機械に変えたりしていろんな部活から来ないかと誘われたがすべて断った。


何故か?それは・・・


「少し待ってろ。用事があるからそれが終わったら、帰ろう」


こいつが、エンジェル対策本部に狙われるかもしれないからだ。もしかしたら、エンジェル対策本部メンバーがこの学校内にいるという話も聞いている。


「うん」


俺のご主人さまを傷つけるわけにもいかんからな。


俺はそう考えて屋上へと上る。


「よう。こんな時に何の話だ?鈴花」


「悪いね海聖。こんな時間に呼び出して」


海聖。最初のころは君だったが、今では呼び捨てだ。

クラスの中でも綾菜に次ぐ仲のいい女子だからだ。


「いや。それほど気にしてはいないが」


屋上にいたのは李鈴花。机の中に入っていた一枚の書き置き。

“屋上で待ってる。 By鈴花”


何の用事かもわからない。約束した覚えがないのだ。

だが、なにかあるのは確かだ。


「そう。ならいい。ちょっとこっち着て」


俺は言われるままに柵の方へと歩いていく。


「ここから見える景色。すごいわね」


「ああ」


第二次極東戦争は現在進行系STOの優勢だ。第一次後よりは国境が前進しているが、それも時間の問題。国境が前よりも後退する可能性の方が高い。


「軍隊の駐留する町に戻ったわ」


糸魚川構造線付近のこの町はかつて・・・といっても半年とちょっと前の話だが、軍隊が師団規模に駐留する町で、町は軍隊様様。軍人がばらまくお金でこの町は活気づいていたのだ。その活気が再び戻ろうとしているということだ。いいことなのか悪い事なのか・・・


「ああ」


町内の高い建物には対空レーダーに対空ミサイル。山の山頂にも対空レーダーやACM。自走電磁投射砲までもが配備され、所々にビルに偽装した建造物にLWがしまわれている。どんな時でも緊急展開できるようにだ。


「でも、それも終わるから安心して」


「どういうこと?」


海聖には理解できなかった。


「・・・ごめんね」


「うっ!!」


「すぐに終わるから・・・痛くしないから・・・だから、お休み」


不意に首に刺された注射器のような物体。海聖は何が起こったのか理解できずに、メタモルフォーゼをする間もなく眠った。


「こちら鈴花です・・・・神の捕獲・・・成功しました」


「・・・良くやった鈴花」


「いまからそちらへ行きます」


その日・・・海聖を見た人物は誰一人としていなかった。



―――――綾菜宅


「海聖!!約束破ったわね!!」


自分の家に帰って早々と怒鳴り散らす綾菜。それは完全に同居人たる海聖に向けられた言葉だった。綾菜自身海聖から何かの応答ぐらいはあると思っていた。


「・・・・・」


返答なし。


「海聖!!怒ってないから出ておいで!!」


子供じゃねえ。とか言う反応が来ると思っていた。

でも、反応どころか、家中探しまくった末に海聖は見つからなかった。


「どういうことなのかしら?」


その日、綾菜は海聖を一度もみなかった。






「えっ?来てない?」


「ええ。残念だけど・・・しかも私海聖呼んだ覚えないわ」


ただいま綾菜は海聖CODE NAME“小・学・生”とお電話中であります。

勿論内容は海聖の件だ。


「と言うことは海聖の用事はそっち関連じゃなかった・・・・」


「どういうこと?」


「あのね・・・放課後一緒に帰ろうと思って。でも用事があるから待っててくれって言われて待ってたんだけど、7時になっても来ないから帰って」


「家に戻ってるかと思っても家にいないと・・・」


「そうなのよ」


「・・・・でも、あいつが殺されることは核兵器が落ちない限りまずあり得ないから・・」


「それとも彼女とかできちゃったのかな・・・・結構人気だし・・・」


「ぶっ!!・・・あ、あいつが人気だと!!」


電話越しで紅茶を飲んでいた萌仁香は突然言われた衝撃の事実に噴き出してしまった。


「げほっ・・・んんんん・・・」


「落ち着いた?」


「ええ。天地がひっくりかえるようなこと言われたから・・・」


萌仁香が知る限り女子(特に成績優秀者)からはかなり毛嫌いされていた。

その理由の一つとしてはカンニング王というのが有力候補だ。


元々こいつは勉強しなくても、教科書をスーパーコンピューター化させた脳みそでスキャンし、脳みその中に保存するというある意味カンニングな行為をしてテストは常に満点。英語なんか、翻訳サイトとつないで英文を翻訳するとか、日本語文を英文にする。リスニングでは聞こえた音声を0.00000(以下略)位の速度で処理し、英文に書き換え翻訳する。


勿論ほとんどの人間が努力し、カンニングする連中もカンニングするための努力をしている。例えとしてはカンニングペーパーを作るなど。だが、ここまで努力のしないカンニングは無いだろう。


そういうところで嫌がられたとか、運動神経がいくら良くても海聖は命令通りに動く機械の身体に変えることなど0.0000(以下略)位の速度で作れるため、海聖に敵う者などいなかった。プロの陸上選手の走るフォーム通りに動く身体に変えてから異常に筋力増強して50m走を4秒台で走ったなど、世界記録を塗り替えることなど楽勝(ギネスには載っていないが)だった。


そしてなにより女子に興味など持つ奴ではなかった。一番。勝ち。そういう言葉にしか興味を示さない。ある意味性質の悪い奴だ。別に根っこが悪い奴と言う意味ではないのだが


「だって運動はできるわ、勉強はできるわ。いろんな部活からの引っ張り合い。本人は勘弁してくれと嘆いていたけど・・・」


「それ、全部・・・」


勿論萌仁香には予測ができていた。


「ええ。メタモルフォーゼによる賜物よ。事情が知らないっていいわね。まあ、あれで顔は悪くないし背も高いからってのが後押ししてるんだろうけど・・・正直言って双子なんて設定にしたからすごい劣等感を感じてるわ」


「お気の毒に・・・」


「まあいいわ。海聖そっちにもし来ていたら連絡してね」


「わかったわ。じゃあね綾菜」


「じゃあね。たまにはうちに遊びに来なよ」


「少し用事があいたらね」


そう言うと萌仁香は携帯の電源を切った。


「核海聖がいない。どういう事?」


誰にもその謎は解けなかった。


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