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俺はチート能力で日本を救う(仮)  作者: オーレリア解放同盟
第二部 第二次極東戦争編
14/29

#13 ソリタリーウェーブ

―――――大日本国 中部地方のどこか


ぼろぼろの建物の部屋はほとんど何もなく、殺風景に近い。ある物は冷蔵庫に電話機。

後は元々ついていたキッチンや水道、浴槽程度だ。

そんな殺風景の部屋に一人受話器を取り、話す少女がいる。


鈴花リンファ・・・・核 海聖はそろそろ現れた頃だと思うが?」


バスローブを着用。そして、後ろ髪を弄りながら会話をする少女は李鈴花。

名前の通り彼女は中国人だ。


「ええ。一昨日、亡命日本人ということで来たわ。未来での資料通り、赤薙綾菜と双子設定で」


「なら引き続き監視をしろ」


「もちろんよ。チャンスが来たら回収するわ」


「ああ。くれぐれも俺達が能力者だと言う事を悟られるな。そしてできるだけ近づけ。奴の隙を見つけるために」


「ええ。解ってるわ。じゃあね、お兄様」


「ああ。じきに俺も日本に向かう」


兄妹の会話はそれで途切れた。受話器の前で唇に指を当て微笑む鈴花。


「フフフ・・・あなたの身体・・・回収させてもらうわ」






「君達、北日本から来たのよね?」


放課後、私たちは家に帰ろうとしている。


だが、突然の声に振り向く。誰だろう?まだ学校にきて3日目。名前を知る人は数少ない。

海聖は男のノリというか、なんかでクラス内でなじんでいるけど、私はあまり馴染めていない。海聖流れで男子とは仲良くなったが、女子とは周りの席の子たちだけだ。


その中で彼女はいない。


「誰?」


「あ、ごめん。名乗るのが遅れちゃったね。わたしは李鈴花リ・リンファ台湾から来た留学生」


「ほう、台湾か・・・」


突然話に首を突っ込んできた海聖。君達と言ったところで彼が入っていることは確かだが・・


「台湾に興味あるの?」


「ん?まあ、NATO側の東アジア勢力は日本と台湾しかないからな」


「そう。私としても、日本を学ぶために来たわけだから、情報が全く入ってこない北日本について知りたくてね」


学ぶことに対する積極性。いいことだと関している海聖だが、北日本についていいことなどない。


「教えてもいいが・・・あまりいい事は無いぞ?」


「ええ。構わないわ」


「そうだな・・・・中国軍によるテロ組織せん滅作戦で支障になった日本人を皆殺しとか・・・思想犯収容所だと・・・老若男女関係なく厳しい尋問。日本人はウェノムと呼ばれる虐げられる世界。簡単に言うとこんなところかな」


「・・・・ひどい世界ね。よく生きていたわね」


「ん?ああ、俺らタフだから」


「そう。ありがとう。勉強になったわ。また質問するかもしれないから、その時はよろしくね」


「ああ」


そういうと、鈴花とよばれる少女は手を振って帰って行った。


「何だったのかしらね?」


「さあ?俺らが物珍しかったんじゃないのか?」


謎は謎を呼ぶ。わざわざ詮索する必要もないだろう。私たちは沈みゆく夕日を眺めて帰った。






「えっと・・・・ミカエル4・・・右に敵車両・・・・ミカエル9前方の茂みに敵兵。対LWミサイルを装備しているわ。ガブリエル2右翼から敵LW部隊確認・・・・」


耳にインカムをつけ指揮を執るのは月見里萌仁香大佐。年齢16歳。身長146cm(海聖データによる)の見た目12歳で通るような少女だ。


彼は予知能力を持つ多次元日本救済計画メンバーの一人で今は特務部隊の指揮官。

そして今は東北へ軍を進めるための第一歩として、フクシマへ軍を進めている。


「おお!!言ったとおりだぜ」


「すごいぞ、萌仁香ちゃん!!」


「楽勝楽勝」


次々聞こえてくる調子こいた発言。私の事上官だと思ってないでしょう?


「・・・あんたたち私の事上官だと一かけらも思ってないでしょう?」


「確かに・・・・大佐はロリ体型ですからね。年齢にふさわしくないというか若いというか」


「なんか言った?」


「い、いえ・・・なにも」


萌仁香の隣で言ってはいけないNGワードを連呼しまくった宮下は足蹴りの挙句に指揮棒で殴られている。


「痛い。いたいたいた・・・ごめん。俺が悪かったから気を取り直して」


「・・・・ったく。どうして、特務部隊の連中って上官に対する態度がなってないのかしらね」


「ホントです」


「特にあんたよ。宮下亮哉」


二人は指揮通信車内で毎度恒例の騒ぎをしている。

戦場と言う事を気にしていない。と言うよりも気にする必要がないのだ。


ここは国境から100km以上離れた基地。そこから通信して指揮を執っているのだ。


普通では考えられない事である。レーダーも地形図も見ないで部隊表だけ見て彼女は指揮しているのである。


やはり予知と言う能力の賜物だ。その場にはなくても彼女には視えているのだ。まるで神の視点のように。味方がどこにいて、敵がどこにいて、そしてどのような地形をしているのかも。


「・・・・もう敵はいないわ。このまま進んでも・・・・ん?ちょっと待って」


「どうしたんだい萌仁香ちゃん?」


多次元日本救済計画メンバーによって設立された特務部隊は設立されて数週間で配備されている兵器がLWばかりの精鋭部隊である。普通の中隊ではLWが5機から10機配備されていれば十分だ。


だが、特務部隊はLWが60機配備されている。更に言わせてもらえば、この世界に本来ある筈がない、別の日本の技術によってつくられたLWだ。代わりに戦車などの重車両は減らされて、移動用整備車両や、歩兵戦闘車などの対歩兵用戦闘装甲車両が配備されている。


そしてLWミカエル隊を仕切るコールサインミカエル1との連絡中、萌仁香は神の視点を再現中だ。


「こ、これは人間?・・・・いや、もしかして・・・・私たちと同じ・・・何この攻撃!!」


萌仁香は通信機器のスイッチをONに切り替えた。


「全隊員に告ぐわ。即刻前線から撤退しなさい」


「へ?なんで?ホワイ?」


「異論は認めないわ。命が欲しくばすぐさま撤退しなさい」


「何でいきなり・・・・何だこいつ?」


ミカエル1から送られてきた映像には萌仁香が視た映像と同じ少年が映っていた。


「みんな!!そいつからどきなさい。死ぬわよ」


「どういうこと?」


「貴様ら全員・・・逝ね!!」


特務部隊のLW部隊の前に立ちはだかった少年は手を前にかざすとある言葉を言った。


「ソリタリーウェーブ・・・」


その言葉が放たれてから3秒もたたないうちに


「な、何だこの攻撃!!」


「LWが・・・ゆがんでいる!!」


「・・・ソリタリーウェーブ。まさか・・・そんな・・・」


「ソリタリーウェーブ?」


隣にいる宮下は映像と萌仁香を交互に見ながら不思議な顔をしている。


「ソリタリーウェーブ・・・・日本語に訳すと孤立波。どの物質にも固有振動っていうのがあって、ある物質を自由に振動させた時に検出される振動の事よ」


「その振動がどうしたんですか?」


「破壊対象の固有振動周波数さえ特定していればソリタリーウェーブを照射する事によって共鳴現象を起こし、物質を破壊する事が出来るのよ」


「・・・えっとどういうこと?」


私がせっかく説明してあげたのに・・・こいつは!!


「全く頭の悪い奴は!!オペラ歌手がグラスの前で高音あげて、グラスを割るっていうの見たことない?」


「なんか見たことあるような・・・」


「それよ。あれはグラス限定じゃなく、他の物質でも同じ事が出来るのよ。それをあいつはやってのけたのよ」


前にいた日本でもまだ実験レベルで正規軍に配備できるような兵器ではなかったのに・・・

それを生身の人間が?


「ぐうううう!!機体損傷が激しい。一時退却します」


「そう簡単に逃がすと思ったか?出力上昇・・・」


「機体ダメージ80%・・・・限界です。脱出します」


次々と指揮通信車から聞こえてくる叫び声と悲鳴。更にそれに続く爆発音。

モニターからはノイズが入っていたと思ったら、画面がくしゃくしゃになった。


「こちらミカエル1。非常脱出装置で何とか脱出しましたが・・・・脱出できたのは僅かです」


「・・・・・STOにも能力者が・・・・それとも振動兵器でも開発したとでも?」


謎は謎を呼ぶ。第二次極東戦争へと発展した武力衝突においてのNATO軍の勢いは失われつつあった。たった一人の少年によって。




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