#1 出会い
前作品と同様かなり無茶苦茶な展開がありまくりで、作者の暇つぶしにより作られた作品ですが、それでもOKという方はどうぞよろしくお願いします。
パラレルワールド―――――
それは異世界、異次元、天界等の世界ではなく我々がいま生きている世界と同じ宇宙と時限を持つ世界。日本語に訳すと並行世界・平行世界と訳される。
その並行世界の数は数えきれないほどであり、今君がトイレへ行っただけでいくつもの並行世界が出来てしまうことだってある。
そしてこの世界の日本は我々の知る日本とは違う。
この地球は日本の一極支配中だ。東アジアから中央アジア、東南アジア、太平洋、北アメリカに至るまで日本は領土を得ている。経済・軍事・国土この3つが世界一位で第二位のGDPを誇るアメリカとの差は7倍。そんなチート国家である日本ではある国家計画がちょうど終わったところだ。
「もう少しだ・・・・パラレルワールドの日本よ。もう苦しむことはない。我々は世界においても類を見ない最強の民族である。共に発展しようではないか・・・」
一人の男性が怪しく一人語りを始める。そしてその目の前には大量の機材。
「誰もこのカプセルにいないということは取りあえず別の日本へ行けたわけだな?」
「はい。取りあえず理論上ですが・・・」
何とあいまいな発言をする研究員。日本が進めてきた国家プロジェクト
「多次元日本救済計画」
パラレルワールドに存在する日本がひどい惨状ということを知ったのはパラレルワールドに行くためのパラレルワールドワープ計画の副産物だった。それにより発展した計画がそれだ。計画は名前の通りひどい惨状にある日本を救うという計画だ。
そしてその計画の第一段階がこの日本で終わった。そして別の世界の日本で第二段階へ進もうとしていた。
2050年――――ナガノ国境付近
周りを埋め尽くしている廃墟と焦げ跡、死体はここが戦場であったと素人でもすぐに認識できるような悲惨な地域と証明している。それもそのはず。ここはNATO軍とSTO軍との戦闘の最前線になる場所だからだ。
「まだか!!まだ見つからんのか!!」
「しかし、ここら辺の建物がじゃまで、北日本人民解放戦線が何処に潜伏しているか解りません」
「なら建物を焼き払え!!所詮ここら辺は日本人居住区だ。上の方から日本人が作戦の支障になれば殺してもかまわないという命令が来ている。北日本に住む日本人に人権などないに等しい」
「で、ですが、国際法として」
「何を言ってる?ここは俺ら中国の領土なんだ。国内のデモで何万人殺してきたと思ってる?今更日本人の100人や200人死んでも変わらん。今は一秒でも早く戦場に着くことだ。建物など粉砕してしまえ!!」
上官の命令には逆らえずテロリスト狩りをしにきたSTO軍という名の中華人民解放軍はここら一帯の日本人居住区を戦車や装甲車で蹂躙していった。逃げ惑う日本人も容赦なく轢き殺していく。
理由は簡単。表向きはテロリストせん滅に障害になるから。
本音はストレス発散。過去の恨み。
「ひ、ひどい・・・・」
中国軍の行動を目の前で見ていた少女は恐怖に怯えた。それと同時に心の中からわきあがる怒り。
だが、彼女は無力で何もできない。所詮は何もできない力なきもの。
彼女はそれがこの場で嫌でも実感した。
「・・・・まずい!!」
通学の途中にその行動を見ていた少女は気づかれたと自覚する。
必死の思いで逃げるが、時速100kmを超す戦闘車両とレースをしたところでウサイン・ボルトもかなわない。いくら人類があがいたところで敵う相手ではない。
要するに、逃げられない。あの人達と共に私も殺される。
「!!!!!」
死を覚悟した。
だが、それにしては長すぎる時間。何も痛くなかったけど、あの世へ行けたのかな?
そう思う彼女は恐る恐る目を開ける。そこには・・・
「天使・・・」
目の前に立つ翼を生やした少年。その姿は天使のようだった。
「残念だったな。あいにく天使ではなく人間だ。そしてここも天国ではなく地球だ」
よく見て気付く。私は死んでいないと。
そして目の前の少年は
「な、何してるの!?」
背中に生えた2枚の翼で装甲車の進路をふさいでいた。
「何やってんだ?国際法違反だぞ。民間人を殺すのは!!」
目の前の少年は中華人民解放軍に何事もないかのように淡々の話しかける。だが、中華人民解放軍兵士にとっては恐怖でしかなかった。
巨大化した翼を前方に振り出すことにより次々とテロリスト狩りにきた部隊の戦闘車両を破壊していく少年。そんな非常識な風景を無力な少女は目の当たりにした。
「あ、あなたは何者?」
恐る恐る尋ねてみる。彼が本当に人間か確かめるために。
「俺の事か?俺は別の、パラレルワールドの日本から来た、この日本を救う者」
「はい?」
この子の頭は大丈夫なのか?彼女は本気でそう心配した。
そして、これが少女と少年の出会いだった・・・