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岡っ引きの源さんは、今日も朝帰り  作者: ねこまんまときみどりのことり


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三郎のその後

 あの日逃亡した三郎は、片切進之介に捕まっていた。

 そして身の上を話した上で彼の部下になった。


 三郎の故郷は悪代官の増税のせいで、飢饉に苦しんでいた。それこそ村の娘や妻達は女郎屋に身を売り、僅かに金を稼いだが、多くの村人達がバタバタと息を失った。


 三郎とその仲間達は代官とは別の悪党と手を組み、村に食事と仕事をもたらした。それは裏の家業と呼ぶものだった。

 けれど誰も救ってくれなかった自分達に手を差し伸べたのは、その悪党だけだったので、三郎達はそれに従った。悪いことだと知っていても。


 そしていつかは女達を女郎屋から救う為に、悪事を重ねたのだ。捕まったら死罪確定の、最悪の極悪人。


 それでも動き続けた。


 南町奉行片桐進之介は三郎を死んだことにして、自らの部下にした。

 報酬は女郎屋に売られた女達の見受けと、村の再生に人員と予算を送ることだ。


 彼は村に戻った女房に、三郎以外の男衆のことと自分の罪を告白した。そして奉行の手下として今後生きていくことも。

 全てを知り抱き合った二人は、今生の別れをしたのだ。


「どんなあんたでも、私にとっては最高の旦那様だよ。それに村人達を救ってくれたのは、あんたと男衆だ。そうしなきゃみんな死んでた。だから生きてて。私はずっとあんたを愛してる。空に向かって祈ってる」


「うっ、ありがとうな。俺は他人に酷いことをした。許されないことをした。お前は良い奴がいれば、所帯を持っても良いんだ。俺は傍に居られないから。でもずっと思ってて良いか? 愛した女はお前だけだ!」


「ああっ、本当に行くのね。元気でいて。ずっと待ってる。私、待ってる、うっ、ぐすっ、うっ」

「……待ってなくて良い。ただ幸せになってくれ」



 傍で見守る片桐進之介と彼の部下と共に、彼は馬で村を去ったのだった。

 見えなくなるまで彼の女房や村人達は、ずっと手を振っていた。多くの不幸を招いた彼は、多くの人も救っていた。


 彼の良心は気がつくと、激しく彼を攻撃した。

「お前は罪人だ。何を偉そうな顔をして、とんだ偽善者だ! 生きる資格などない癖に! この悪魔が!」 


 懸命に生きると同時に、己の罪に苦しみ命を投げ出してしまいそうな衝動と戦っていた。

 それは今も抱えているけれど、使命を得た彼は命をかけて江戸を守ると誓ったのだ。




 今日、三郎は善次と名を変え、新しく生を受けた。

 三郎の名を永遠に失ったのだ。


 村のリーダーであった三郎は、腕っぷしも良く人気の歌舞伎役者のように渋い(かんばせ)を持っていた。  

彼は諜報として危険な場所の潜入を行うのだ。


 今後彼と手を組んだ悪党と、衝突することもあるだろう。けれどそれを恐れずに、変装を駆使し剣技や格闘技を鍛えあげ、戦っていくのだ。



 彼らの村を壊した悪代官は、奉行の陳情で将軍に裁かれて死罪となった。新しい代官は少しはまともな者が就くことだろう。





 江戸の治安は、様々な人材に守られていくのだった。


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