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元悪役令嬢、毒を以て毒を制する  作者: セピア色にゃんこ
第1章 悪役令嬢、家出する
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原因究明

尖塔の内部は、湿気と冷気が絡み合う異様な空間だった。


階段は苔で滑りやすく、所々に亀裂が走っている。


ランタンの光を頼りに、リナとサイラスは慎重に足を進めた。


「リナ、この尖塔……ただの封印の場所じゃなさそうだ。」


サイラスが天井を見上げながら呟く。


そこには、古びた魔法陣のような文様が刻まれ、微かに青白い光を放っていた。


リナは立ち止まり、その文様をじっと見つめた。


「この魔法陣……封印を強化するためのものです。でも、明らかに魔力が乱れています。」


リナは壁に手を触れ、指先で文様をなぞった。


その瞬間、冷たい感覚が彼女の体を走った。


「他の柱の異変が影響している……。」


「他の柱?」


サイラスが顔をしかめる。


「はい。四つの柱は互いに共鳴しているんです。一つに異常があると、他の柱にもそれが伝わる仕組みになっているとお婆さまの家の地下にあった書物に書いてありました。」


「つまり、この尖塔の封印も、どこかで異常が起きているせいで緩み始めてるってことか。」


リナは頷きながら、さらに奥へと進む。


「でも……それだけじゃ説明がつきません。他の柱に異常を知らせるための仕組みが、ここまで大きな影響を与えるなんて……。」


その時、奥から鈍い振動音が響いた。


二人は顔を見合わせ、音のする方向へと急いだ。



階段を下り切ると、広い円形の部屋が現れた。


部屋の中央には巨大な石柱が立ち、その周囲にはいくつもの古い石版が並んでいる。


柱からは黒い霧が立ち上り、部屋全体を覆っていた。


「これが封印の柱……。」


リナは恐る恐る柱に近づき、霧の中で手を止めた。


霧は触れるだけで魔力を吸い取るような感覚を与え、リナは顔をしかめたまま柱を慎重に調べ始める。


「何か文字が刻まれています……古代語ですね。」


ペンダントを握り、リナは闇魔法を通じて文字を解読し始めた。


すると、石柱に隠されていた文字が浮かび上がる。


「『四つの柱が揃うとき、封印は完全なる形を取り、闇はその眠りを破る』……?」


「闇ってのは魔王のことか?」


サイラスが隣に立ち、険しい表情を浮かべる。


「おそらく……四つの柱をすべて解かない限り、魔王は復活しないはずです。」


「だが、それを知らずにどこかで封印を緩めているやつがいるってことか。」


サイラスが苦々しげに呟いたその瞬間、部屋全体が揺れ始めた。


足元の石が砕ける音と共に、天井から砂が降り始める。


「リナ!何か来るぞ!」


サイラスが剣を構えると、霧の中から巨大な魔獣が姿を現した。


その体には鎖が巻きついていたが、それを力任せに引きちぎり、唸り声を上げて二人に迫る。


「封印が損傷した影響で目覚めた……?」


巨大な尾を振り回し、鋭い爪で床を引き裂くような攻撃が迫るが、サイラスは冷静にかわしながら反撃を加えた。



リナは後方から魔法陣を描き、闇魔法で魔獣の動きを鈍らせるよう試みた。


「これ以上、封印を乱させない……!」


闇の結界が魔獣を包み込み、その動きをわずかに遅らせる。


サイラスはその隙を逃さず剣を振り下ろし、魔獣の片腕を切り落とした。


魔獣が苦しげに咆哮を上げると、部屋全体が再び震え始めた。


「リナ、もう少し耐えてくれ!」


サイラスが声を上げる中、リナは魔法の力をさらに強める。


ペンダントが黒い光を放ち、魔獣の体を締め付けるように結界を狭めていく。


「今です、サイラス!」


リナの叫びに応じ、サイラスは全力で剣を突き立てた。


魔獣は凄まじい音を立てて崩れ落ち、その体は霧と共に消え去った。



静寂が戻り、二人は息を整えながら立ち尽くした。


リナは膝に手をつき、額の汗を拭った。


「これで……少しは封印を守れたでしょうか……?」


「少なくとも、これ以上の被害は防げたはずだ。でも、まだ終わりじゃない。他の柱の状況を調べないとな。」


サイラスがリナの肩に手を置き、真剣な眼差しで彼女を見る。


その言葉に、リナは力強く頷いた。


「はい。このまま放っておくわけにはいきません。私にできることを、全力でやります!」


二人は柱の異常が再び起きないよう確認を終え、尖塔を後にした。

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