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元悪役令嬢、毒を以て毒を制する  作者: セピア色にゃんこ
第1章 悪役令嬢、家出する
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魔王の封印方法

ヴィクトリアとの会話を終えたリナとサイラスは、その夜、祖母の屋敷に用意された客室で静かに休息を取ることになった。


けれども、リナの心は複雑な感情で揺れていた。


ベッドに横になりながら、リナは天井をぼんやりと見つめた。


祖母の言葉が何度も頭の中で繰り返される。


「アルベルト家の血を引いている以上、魔王の封印を守る役割がある」――その言葉の重さが、リナの胸を締め付けていた。


(私は本当にこの役割を果たせるの?)


リナは自分の力不足を痛感していた。


闇魔法を扱えるようになったとはいえ、それはまだ不安定で、完全に制御できているわけではない。


それに、魔王復活を目論む何者かがいるという事実は、彼女に強いプレッシャーを与えていた。


ふと、ドアを軽くノックする音がした。


「リナ、起きてるか?」


低い声に、リナは小さく返事をした。


「はい、起きています。どうぞ。」


ドアが静かに開き、サイラスが顔を覗かせた。


彼は片手にランタンを持ち、リナの部屋に入ってくる。


「眠れないのか?」


「……はい。いろいろ考えちゃって……。」


サイラスは無言で椅子を引き、リナのベッドの近くに腰を下ろした。


そして、柔らかい光を放つランタンをテーブルに置くと、静かに言った。


「お前が抱えてるものの大きさは、俺には完全に理解できないかもしれない。でも、一つだけ言えることがある。」


「……何ですか?」


「お前は一人じゃない。俺たちがいる。カイエンもミリアも、そして俺も。だから、何が起きても一緒に戦うつもりだ。」


サイラスの真っ直ぐな言葉に、リナは胸が温かくなるのを感じた。


いつも冷静で頼りになる彼が、自分の不安を察してくれている。


それが何よりも心強かった。


「ありがとう、サイラス。本当に……ありがとうございます。」


「感謝なんていらないさ。それより、少しは眠れよ。明日からまた忙しくなるんだからな。」


サイラスは軽く笑いながら立ち上がり、部屋を後にした。


リナはその背中を見送りながら、小さく頷いた。


(そうだ、私にはみんながいる。私にできることを、全力でやればいいんだ。)



翌朝、ヴィクトリアはリナとサイラスを屋敷の書庫へと案内した。


そこには古い書物や記録が整然と並び、闇魔法に関する知識がぎっしりと詰まっていた。


「ここには代々アルベルト家が収集してきた資料があるわ。瘴気や魔獣についての情報もいくつか見つかるはずよ。ただし、古い言葉や符号で書かれているものも多いから、注意して読むことね。」


リナはその膨大な知識の宝庫に驚きながら、感謝の言葉を述べた。


「ありがとうございます、お祖母様。ここでできる限りのことを学びます。」


「それでいいわ。でも、急ぎすぎないこと。疲れたら休むのも重要よ。」


ヴィクトリアの言葉には、どこか優しさが滲んでいた。


サイラスも書物の一部を手に取りながら、リナを手伝う準備をしていた。


彼は魔法に詳しくないものの、必要な情報を見つけ出す作業には長けている。


「このシンボル、何か意味があるのか?」


サイラスが古い文書を見せると、リナはその横に座り、一緒に内容を確認した。


「これは……闇魔法の封印に関する記述ですね。『大地の四つの柱』という言葉が出てきています。もしかして、封印に必要な場所のことかもしれません。」


二人は協力しながら資料を読み進めていく。


瘴気や魔獣の暴走が封印の緩みによるものである可能性が高いという結論にたどり着いたが、それ以上の具体的な手がかりはまだ見つからない。


そのとき、カイが書庫の隅で何かを引っ掻いているのに気づいた。


「カイ、何をしてるの?」


リナが駆け寄ると、カイが見つけたのは古びた鍵だった。


それは黒い金属でできており、不思議な文様が彫り込まれている。


「この鍵……どこかの扉を開けるもの?」


ヴィクトリアが鍵を一目見ると、表情を引き締めた。


「それは……『影の間』の鍵ね。この屋敷の地下にある部屋のものよ。」


リナとサイラスは顔を見合わせた。


その鍵が新たな手がかりとなることを確信し、ヴィクトリアの案内のもと地下の「影の間」へと向かうことにした。


暗い石造りの廊下を進むと、空気はひんやりとして肌に冷たさを感じる。


ヴィクトリアが静かに鍵を差し込み、重厚な扉を押し開けた。


中には、古びた書物や巻物が整然と並べられていた。


リナは静かにその場に膝をつき、書物の一つを手に取った。


その瞬間、彼女の中で何かが動き始めたような感覚があった。

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