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元悪役令嬢、毒を以て毒を制する  作者: セピア色にゃんこ
第1章 悪役令嬢、家出する
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新たな挑戦と未開の地

瘴気が立ち込める森の中、リナたちは未踏のダンジョンの入口に立っていた。


周囲には毒々しい霧が漂い、植物は枯れ果て、岩肌は腐食している。


「これが『霧毒の巣窟』か……。予想以上に厄介そうだな。」


カイエンがマスク越しに低い声で呟く。


その視線は霧の奥から漂う不気味な気配を捉えていた。


「これだけの濃度だと、ミリアの風魔法でも完全には払えないわね……。」


ミリアが呟きながら、霧を軽く払いのけようと魔法を使う。


しかし、一瞬視界が開けてもすぐに霧毒が再び濃くなる。


「リナ、この状況でポーションや解毒剤が使えないのは痛いが……準備してくれたマスクには感謝だ。」


サイラスがリナに向けてそう言うと、リナは少し照れくさそうに頷いた。


「ありがとうございます。でも、これだけでは十分ではないかもしれません。何かもっと効果的な手段が必要です。」


彼女の視線は不安に揺れていたが、その奥には解決策を模索する決意が宿っていた。



ダンジョン内はさらに濃い霧毒に包まれていた。


ミリアが風魔法を使い、カイエンが前方の敵を次々と倒して進んでいくが、その進路は一向に開けない。


「これじゃキリがない……!」


ミリアが額の汗を拭いながら苛立ちを隠せない様子で呟く。


その時、霧の奥から巨大な影が現れた。


「くるぞ!」


サイラスが鋭く叫び、全員が構えを取る。


その正体は巨大な魔獣で、尾を振り回すたびに濃い毒霧を撒き散らしている。


「くそっ、また霧毒か……!みんな、気をつけろ!」


カイエンが剣を構え直すが、その声にも焦りが滲んでいた。


濃度を増した毒霧が一気に周囲を包み込み、マスク越しでも呼吸が苦しくなる。


「リナ!毒霧がさらに濃くなってきた!」


サイラスが叫んだが、その声は苦しげだった。


彼の動きが鈍くなり、ついに膝をついてしまう。


「サイラス!」


リナが慌てて駆け寄るが、どうするべきか分からず立ち尽くした。


マスクを外せば瘴気に侵されるため、飲む解毒剤は使えない。


(どうすれば……!このままじゃ……!)


彼女の焦りは頂点に達し、頭の中でこれまでの知識が渦巻き始めた。


その時、彼女の手に黒い光が集まり始めた。


(……毒の性質を中和する……。これなら……!)


リナは目を閉じ、両手に魔力を集中させた。


それは彼女が学び、体得してきた調合の知識と闇魔法の応用によるものだった。


「お願い……サイラスを助けて……!」


リナの叫びと共に、黒い光が柔らかい輝きへと変わり、サイラスを包み込む。


毒霧がその光に触れるたびに浄化されていく。


「……リナ……?」


サイラスがかすれた声で呟く。


彼は徐々に楽になっていく呼吸を感じ、ゆっくりと立ち上がった。


「……毒が……消えた……。ありがとう、リナ……本当に助かった。」


リナは息を切らしながらも、小さく微笑んだ。


「良かった……間に合って……。」



霧毒を放つ魔獣との戦闘は続いていた。


リナが発動した解毒魔法が霧毒を中和し、敵の攻撃を弱体化させる。


「リナの魔法……すごいわ……!」


ミリアが驚きの声を上げる。


彼女自身も防御のための魔法を展開していたが、リナの魔法がパーティ全体を支えていることを実感していた。


「これなら勝てる!」


サイラスが力強く叫び、巨体の魔獣に突進する。


剣が魔獣の足元を斬り裂き、カイエンがとどめを刺すために全力で斬撃を繰り出した。


魔獣は咆哮を上げながら崩れ落ち、濃い霧毒が一瞬にして消えていった。


静寂が戻り、全員がその場に立ち尽くした。


「……やったな……。」


サイラスが剣を地面に突き刺し、肩で息をしながら呟く。


「リナ、本当に助かった。君の力がなければ、今回のミッションは成功しなかった。」


彼の言葉に、リナは少し戸惑いながらも頷いた。


「いえ……皆さんがいたからこそです。私一人では到底……。」


「いや、リナ。お前の力は俺たちにとってなくてはならないものだ。」


サイラスの真剣な言葉に、リナは胸が温かくなるのを感じた。


「ありがとう、サイラスさん。」


彼女の言葉に、サイラスは軽く微笑み、仲間たちに目を向けた。


こうして彼らは、新たな危険を乗り越え、再びギルドへと帰還したのだった。

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