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元悪役令嬢、毒を以て毒を制する  作者: セピア色にゃんこ
第1章 悪役令嬢、家出する
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瘴気のダンジョン攻略

瘴気が立ち込める森の中、リナたちはダンジョンの入口に立っていた。


周囲には毒々しい霧が漂い、植物すら枯れ果てている。


枯れ木や岩に付着した苔は腐食し、この地帯の過酷さを物語っていた。


「これが『瘴気の巣窟』か……。想像以上だな。」


カイエンが眉をひそめながら周囲を見回す。


マスクを装着しているため、声は少しこもっていたが、その緊張感は伝わってくる。


「マスクがあって本当に助かるわね。これがなかったら、ここに立つことすら難しいわ。」


ミリアがマスクの端を軽く押さえながら感想を述べる。


リナも同じようにマスクを調整しながら頷いた。


「瘴気の濃度がこれほど高いとは思いませんでした。ポーションや解毒剤を飲むことができないのが難点ですけど……マスクを外したら危険ですから。」


「その通りだ。リナ、このマスクがなければここには入れなかった。本当にありがとう。」


サイラスがリナの肩を軽く叩き、感謝を伝えた。


彼の言葉にリナは少し顔を赤らめながらも、小さく微笑んだ。


「いえ、私にできることをしただけです。ここからは皆さんの力が必要です。」


瘴気に覆われたダンジョンの中、彼らは慎重に一歩一歩を進めた。


濃密な霧が視界を遮る中、周囲の音が不気味に響き渡る。


突然、前方から異様な気配が近づいてきた。


「敵だ!」


サイラスの警告と同時に、瘴気の中から魔獣が現れた。


その姿は歪み、全身から瘴気を放出している。


魔獣は瘴気を吸収することで自らの力に変えているようで、その動きは通常の生物とは異なっていた。


「リナ、後ろに下がってサポートを頼む!」


「分かりました!」


リナは後衛に下がり、仲間たちの動きを見守った。


サイラスとカイエンが前衛で攻撃を仕掛け、ミリアが魔法で援護する。


魔獣の動きは素早かったが、チームの連携で徐々に追い詰められていった。


「リナ!魔獣が瘴気を操って視界を遮ってくる!何か方法はないか?」


カイエンが叫ぶ。その瞬間、リナは頭の中で考えを巡らせた。


(瘴気で視界が遮られるなら、光や影で動きを捉える方法が有効かも……。)


リナは即座に小さな闇魔法を発動し、魔獣の周囲に薄い黒い膜を張った。


それは光を通さない簡易的な遮蔽物となり、魔獣が動くたびにシルエットが浮かび上がる仕組みだった。


「これで魔獣の動きが分かります!サイラスさん、お願いします!」


「いい判断だ、リナ!」


サイラスはそのシルエットを目印に攻撃を集中させ、一撃で魔獣を仕留めた。


深く息をつきながらも、全員の顔には安堵の色が浮かんでいた。




ダンジョンの最奥部にたどり着いた彼らを待っていたのは、瘴気の源である巨大な魔石だった。


魔石から立ち上る霧は周囲に不気味な光を放っている。


「これが瘴気を生み出している原因だな。」


サイラスが低く呟き、剣を構える。


ミリアは封印魔法を唱え始め、カイエンが魔石を砕く準備を整える。


「リナ、この間周囲の警戒を頼む!」


「はい!」


リナは周囲に潜む魔獣を探し、再び闇魔法で罠を張った。


魔石を破壊する音が響き渡ると同時に、瘴気が徐々に薄れていくのを感じた。


「やったな!」


サイラスが満足げに呟き、パーティ全員が一斉に深呼吸をした。


マスクのおかげで瘴気を吸い込むことはなかったが、体力の消耗は避けられなかった。


それでも彼らは無事にダンジョンを攻略することができたのだ。



ダンジョンを無事にクリアし、ギルドに戻った彼らを待っていたのは、冒険者たちの賛辞だった。


リナが提案したマスクは、今回の冒険での成功を支える重要な役割を果たし、その功績はギルド中に広まった。


「リナ、君のマスクのおかげで今回のミッションが成功した。本当にありがとう。」


サイラスがリナに改めて感謝を述べると、ミリアも微笑みながら続けた。


「リナのアイデアがなかったら、ここまで来られなかったわ。今後もリナがいてくれると心強いわね。」


「……ありがとうございます。でも、みんなが協力してくれたから成功したんです。私は少し提案しただけで……」


リナは謙虚に答えたが、その頬は少し赤らんでいた。


その後、ミリアの知り合いである魔道具師エイドが、このマスクを商品化する計画を立て始めた。


ギルド内でも需要が高まる中、マスクの改良版を開発し、冒険者たちに広めるプロジェクトが進行していった。


「リナ、君のアイデアが多くの冒険者を救うことになるな。」


サイラスの言葉に、リナは静かに微笑みながら答えた。


「もしそうなら、私にとってこれ以上の喜びはありません。」


瘴気のダンジョン攻略は、リナの知識と提案が仲間たちだけでなく、多くの冒険者を救う力を持つことを証明する結果となった。


そして、リナは自分の役割を改めて実感し、さらなる挑戦に向けて一歩を踏み出していくのだった。

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