レイナの光魔法
その頃、男爵家の一室では、レイナ・ヴァレンティアが古びた魔法の書物を開き、闇魔法についての研究を進めていた。
部屋には光魔法と闇魔法に関する資料が雑然と積み上げられ、魔法陣の図案や手書きのメモが散乱している。
レイナの瞳には焦りと野心が混ざり合い、その手には一冊の古い魔導書が握られていた。
「闇魔法……未知の力。もしこれを制御できれば、魔王復活の儀式を行うことで、全てを手に入れることができる……!」
彼女は指先で魔導書の一節をなぞり、声を落として呟いた。
しかし、そこに記された言葉は断片的で、完全な儀式の方法が分かるようには書かれていない。
彼女の眉間には深い皺が刻まれる。
「このままでは、私が目指す真の聖女にはなれない……。」
レイナは苛立たしげに机を叩き、椅子にもたれかかった。
光魔法だけでは真の力を得られない――その事実は、彼女の心に暗い影を落としていた。
そんな中、目に飛び込んできたのは「アルベルト家」という名前だった。
古い文献には「闇の一族」として名高いその家系の記録が書かれている。
「アルベルト家……彼らの力が必要だわ。」
彼女はそう呟くと、隣に積み上げられている書物を手に取り、ページをめくり始めた。
そこには、アルベルト家が闇魔法の研究を進めてきた歴史や、その一族が持つ特異な力についての記述があった。
◇
数日後、レイナは男爵家の書庫でアルベルト家の詳細な記録を探していた。
その中には、ルナフィーネ・アルベルトに関する情報も含まれていたが、彼女が目を引かれたのはルナフィーネの姉、セレーナ・アルベルトの存在だった。
「セレーナ・アルベルト……彼女は闇魔法の天才で、学園時代には学年1位で卒業したと書かれているわ。」
レイナはページをめくりながら、セレーナに関する記述に目を凝らした。
セレーナは若くして闇魔法を極め、特に防御や攻撃だけでなく、闇属性を応用した複雑な魔法陣の設計にも秀でていたらしい。
さらに、アルベルト家の血筋には、魔力の流れを独自に変化させる特性があり、これは光魔法では決して得られないものだという記述もあった。
「そうよ……光と闇、両方の力があれば……!」
レイナの胸に再び野心が灯る。
彼女はアルベルト家の力を手に入れることで、魔王復活の儀式を成功させ、自身が目指す「真の聖女」としての地位を得られると確信した。
「セレーナ・アルベルトに接触する方法を考えないと…」
◇
その一方で、王都から遠く離れた辺境の村では、不気味な異変が起こり始めていた。
周辺の森では魔獣が異常発生し、人々が襲われる事件が相次いでいた。
それだけでなく、瘴気が立ち込め、植物が次々と枯れていくという現象も報告されていた。
「最近、魔獣の数が増えている……それに、あの瘴気は普通じゃない。」
村の長老が険しい表情で言う。
その近くで、冒険者たちが焦燥感を漂わせていた。
「このままじゃ村が滅ぶぞ……一体何が起きてるんだ……。」




