光苔草の採取依頼
以下に、エピソード13をアドバイスを基に書き直しました。Webtoon化を意識し、視覚的描写やキャラクターの感情を強調しています。
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### **エピソード13:光苔草の試練**
朝日が窓から柔らかく差し込み、部屋の中を暖かく照らしている。
カイが膝の上で丸くなり、規則正しい寝息を立てていた。私は彼の毛並みをそっと撫でながら、昨日の銀葉草採取のことを思い返していた。
「冒険者としての第一歩か……。」
小さく呟くと、胸の中で少しずつ何かが膨らんでいく感覚がする。けれど、同時にこれから挑戦する新しい依頼への不安もあった。
「おい、ルナフィーネ! また考え込んでいるのか?」
突然の声に驚いて顔を上げると、そこにはサイラスが立っていた。
扉の向こうから彼が顔を覗かせ、手には一枚の紙を持っている。
「何か……あったんですか?」
「これさ、新しい依頼だよ。ちょうど君にぴったりだと思ってね。」
そう言って彼が渡してきた紙には、「光苔草採取」の文字が書かれていた。
「光苔草……ですか?」
その名前を見て、私は思わず声を漏らした。
光苔草――それは、暗闇で微かな光を放つ苔であり、傷の治療や毒消しに使われる希少な素材だった。
「ほら、この依頼書に書いてある場所、そんなに深いダンジョンじゃないんだ。難易度的にも君にちょうどいいと思うよ。」
サイラスの言葉に、私は少し考え込んだ。前回の採取依頼は成功したが、今回はダンジョン――未知の場所に足を踏み入れる必要がある。それがどれほどの挑戦になるか、私には想像もつかなかった。
「やらなければいけない理由でもあるんですか?」
そう尋ねると、彼は真剣な表情になり、少しだけ目を細めた。
「冒険者として生きるなら、避けては通れないんだ。最初の一歩を踏み出した君なら、次に進めるはずだよ。」
その言葉に、私は小さく頷いた。
◇
ダンジョンの入り口に到着すると、そこは木々に囲まれたひっそりとした場所だった。
光がほとんど差し込まず、湿った空気が漂っている。足元には苔が広がり、微かに光るものも見えるが、それは光苔草ではなさそうだった。
「さて、準備はいい?」
サイラスが振り返りながら問いかける。
私は用意してきた小さな採取道具と薬草袋を確認し、静かに頷いた。
「行きましょう。」
ダンジョンの中は薄暗く、空気がひんやりとしていた。
壁には時折、小さな光を放つ苔が点々と生えており、それが唯一の明かりとなっていた。
サイラスが先頭を歩き、私はその後ろに続く。
「光苔草は、このダンジョンの奥にあるよ。湿気が多くて暗い場所が好きだから、見逃さないようにね。」
「分かりました。」
私は注意深く足元を見ながら歩いた。湿った地面には滑りやすい苔が生えており、慎重に進まなければ危険だと感じた。
しばらく進むと、微かな光が私の目に留まった。
「あれは……!」
壁際に、他の苔とは明らかに違う光を放つものが見えた。
「それだよ、光苔草!」
サイラスが嬉しそうに声を上げる。
私はその場所に近づき、そっと観察した。小さな緑の苔が、薄い青白い光を放っている。その光は、どこか穏やかで優しい雰囲気を纏っていた。
「すごい……本当に光ってるんですね。」
「綺麗だろ? でも慎重に採らないと傷つけちゃうからね。」
彼のアドバイスを受け、私は丁寧に手を伸ばした。小さなナイフで苔を少しずつ削ぎ取り、用意した布袋に収める。
壁際に生える光苔草をひとつずつ摘み取る中、ふと足元がぬるりと滑る感触がした。
「っ……!」
驚いて後ろに飛び退くと、そこにはぷるぷると揺れるスライムがいた。
「出たな。」
サイラスが剣を抜き、私の前に立つ。
「スライム……!」
「動きが遅いし、中の核を狙えば一発で倒せるんだ。任せて。」
サイラスが剣を構えたその瞬間、私は道具袋から小瓶を取り出した。
「待ってください。」
彼が一瞬振り返る。
「これを試してみます。」
瓶の中には、毒薬――ただし、致死性ではなく、生物の動きを鈍らせるものだ。
スライムの柔らかい体に液体を振りかけると、ぷるぷると震えたあと、動きが徐々に鈍くなった。
「効いてるみたいだな。」
サイラスが笑みを浮かべる。
「これなら核を狙いやすくなるはずです。」
私はナイフを構え、スライムの中心にある核に狙いを定めた。
心臓が鼓動を打つ音が耳に響く。
「はぁっ!」
ナイフを一気に突き立てると、スライムの体が崩れ、核だけが残った。
「やった……!」
手元に転がる核を見つめながら、小さく息をついた。
「お見事。毒薬の扱いが上手いね。さすが。」
サイラスの言葉に少し照れながらも、私は毒薬を戻し、再び光苔草の採取に戻った。
◇
採取を終えた私は、深く息をついた。
「やったね、これで依頼完了だ。」
サイラスが笑顔で言う。私はその言葉に少し安堵した。
「こんな場所に自分が来られるなんて……少し信じられません。」
「そう? でも君ならこれからもっとすごい場所にも行けるよ。」
彼の軽い言葉にはどこか本気が感じられた。
ダンジョンの出口に向かう途中、サイラスがふと足を止めた。
「ねえ、ルナフィーネ。」
「はい?」
「次の依頼、君がやりたいものを選んでみるといいよ。」
その言葉に、私は少しだけ驚いた。
冒険者としての選択肢が私の手に委ねられる。これが、私が今まで選ぶことができなかった「自由」なのだと思った。
「……分かりました。考えてみます。」
静かに答えると、彼は満足げに頷いた。
◇
ギルドに戻ると、職員が笑顔で迎えてくれた。
「光苔草の採取、お疲れ様でした! 無事に完了ですね。」
渡した苔を確認し、職員は満足そうに頷く。
「これで次の依頼も問題なく受けられますね。」
そして私は、未来への一歩を再び踏み出す決意を固めた。
この依頼、ルナフィーネにぴったりだ!と思い
ギルドの掲示板からひっぺがしてきちゃったサイラス
あとでギルドの受付のお姉さんに怒られたそうです