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元悪役令嬢、毒を以て毒を制する  作者: セピア色にゃんこ
第1章 悪役令嬢、家出する
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新たな興味の芽生え

朝の柔らかな光が窓から差し込み、部屋を温かく照らしている。

調合台の上には乾燥させた薬草が並び、その香りが微かに空気を満たしていた。


カイは窓辺で丸くなり、穏やかな寝息を立てている。

艶やかな黒い毛並みが陽光を浴びて輝き、青い瞳が一瞬だけまぶたの間から覗いたかと思うと、再び静かに閉じられた。


「……気持ちよさそうね。」


私は微笑みながら彼の頭をそっと撫で、隣の棚から薬草を取り出した。

作業に集中しようとしたその瞬間、キッチンからスープが煮える音が聞こえてきた。


「そろそろ朝食にしようか。」


マティア婆さんの声が、私を現実に引き戻す。

カイを起こさないよう静かに立ち上がり、キッチンに向かった。


キッチンでは、暖炉の火が赤々と燃え、鍋から立ち上る湯気が温かさを漂わせていた。

木製のテーブルには簡素なパンと野菜のスープ、そしてハーブで味付けされた肉の切れ端が並んでいる。


「ほれ、今日はあたしの特製じゃ。」

マティア婆さんが笑いながらスープを注ぎ、テーブルに置いた。


私は椅子に腰を下ろし、湯気に包まれるスープを一口すする。

口の中に広がる深い味わいに、思わず笑みがこぼれた。


「おいしいです。さすがですね。」


「当たり前じゃ。何十年もこの手で鍋をかき混ぜてきたんじゃからな。」


彼女の笑顔はどこか誇らしげで、私もつられてもう一口スープを飲んだ。



食事を終えると、マティア婆さんがふと話し始めた。


「そういえば、ギルドの連中が最近騒がしくてな。」


「ギルド……ですか?」


「そうじゃ。冒険者や薬師が集まるあの場所よ。サイラスもよく足を運んでおるんじゃないか?」


その名前を聞いた瞬間、私は少しだけ頬が熱くなるのを感じた。

スプーンを置き、彼女の言葉に耳を傾けた。


「ギルドというのは、ただ冒険者が集まる場所ではないんじゃ。薬師や鍛冶屋、商人たちも集まって、互いの知恵や技術を共有する場でもある。」


彼女の言葉が描くギルドの姿が、私の中に広がる。

冒険者たちが賑やかに話し合う様子や、ポーションや解毒剤を売りに行く薬師の姿が、鮮やかに浮かび上がるようだった。


「お前さんも、一度行ってみるといい。」


彼女がそう言うと、私は少し驚いて目を見開いた。


「私が、ですか?」


「そうじゃ。あそこには、今のお前さんが必要としているものがたくさんあるじゃろうて。」


彼女の言葉は暖かく、どこか背中を押すような力強さがあった。

私はそっと視線を落とし、カイの姿を思い浮かべる。


「……考えてみます。」


その言葉に、彼女は満足そうにうなずいた。



キッチンを片付けた後、私は再び調合台の前に戻った。

窓の外を見ると、朝の光はすっかり高く昇り、澄んだ青空が広がっている。


薬草を棚に並べながら、私はギルドのことを考え続けていた。

新しい出会いや学びの場――その可能性が、心の奥で小さな興奮を呼び起こしているのを感じた。


ふと視線を感じて振り向くと、カイがじっとこちらを見つめていた。

その青い瞳には、まるで「進んでみろ」と言っているかのような不思議な力強さがあった。


「……どう思う?」


私が問いかけると、彼は一声鳴いて小さく伸びをした。

その仕草に、私は小さく笑みを浮かべた。

違和感はあったのですが、

その違和感が何なのか?が分かりました。


悪徳令嬢??いや、悪役令嬢か!!!


タイトル変更しました。2024/11/22

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