歌って踊って狂い咲け
パーティ会場には煌びやかに飾り付けられ、貴族や豪商が噂話に花を咲かせる。
娯楽好きの往生の噂を異国の旅芸人や商人が王城へと集い、自らの芸を商品をアピールする。
ヴィヨレ国内の芸者の数は減っている。貧しい庶民が増える中で娯楽を提供する芸人の食い扶持も減りつつあるのだ。
様々な国を回る旅芸人が見せる劇や見世物は異国の生活や社会情勢を反映する。
商人が持ち寄る品々は他国の特産品や経済情勢を反映している。
彼らの話は庶民から見た他国の実情を語るのだ。
そしてまた、旅芸人や商人が国へ帰るとき、ヴィヨレ王国の話を持って帰る。
このパーティは、王女の娯楽の為と銘打ったあらゆる情報が飛び交う場である。その真意に気づく者はここにはほとんどいない。パーティが終わる頃には王女手の者が情報を統合・操作している。
ヴィヨレ王国は独自の科学技術・軍事形態を持ち、大陸の中で中立国として存続してきた。ヴィヨレの技術は高度であり、その技術の全貌を知られぬようにヴィヨレは情報統制を行ってきた歴史がある。
だか他国は容易にヴィヨレには攻め込めない。なにが飛び出すかわからぬのだから。
しかし近年、貴族と、力をつけた商人や平民の武力がぶつかる事件が目立つようになった。
かつて栄華を誇った王政は、長い時間とともに癒着と腐敗に至った。腐った政治、それに苦しめられる民という構図がここ10年ほど続いている。
世界大戦の中にある他国は隣国との戦争に忙しいが、内紛寸前の様相を呈するヴィヨレ王国をひとまず捨て置いてはいるが、そちらが終わればヴィヨレへ侵略を始めるだろう。
この国の存続も滅亡も時間の問題だ。
ーーーどちらにせよ、
アレクサンドラは王女の特等席からパーティ会場を見下ろして目を細める。
ーーーヴィヨレ王家が生き残る道はない。
王女はなんのために生まれてきたのか。




