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湖へ1。

 異世界へ来て数か月たった。

 前よりだいぶ暖かくなってきた、この世界にも四季があるみたいだ。

 春先のある日、


「外へ行ってみたいにゃ」


 そうクロに言われる。


「街の外へか?」

「そうにゃ」


 俺も入ってきたときの少し森を歩いただけだ。

 外のことは全く知らない。


「街の外は危険じゃないのか? 魔物が出たり野生の獣が出るから一般人だと危ないと聞いたけど」

「そんにゃことにゃいはず、湖のほうは観光地にゃ」


 そこへ行ってみたいというらしい。


「外へ出るのも金がかかるにゃ。にゃあも昔は馬車へ乗っていろんな場所へ行ってたんにゃ」


 たまには違う景色を見に行くとするか。


「じゃあ明日にでも行ってみるか」

「うう、やっとこの仕事初めての休みが取れるにゃあ!」


 おつかれクロ。


 そういうわけでフマルに外へ出るのに必要なものを聞きに来た。


「北側の湖へ出てみたい? この前来た獣人の方と?」

「はい。もしかして仕事以外での出入りは難しいとか?」

「いえ、全然そんなことないですよ。街から発行された木簡さえ買ってあれば自由に出入りできますよ」


「もちろん例外もありますよ。犯罪者や冒険者、勇者様は門番の判断で制限されます」


 それもそうだ。

 危険な人物を外へ出すはずないし、冒険者は緊急時に出れないと困る。

 あと異世界へ来たばかりの人間が持っているはずがないもんな。


「アキラ様は冒険者カードがありますからフリーパスですね。あとは連れて行く方の木簡を作ればいいです」

「もしかして、褐色肌だと制限されたりします?」

「・・・・・・わかりません。犯罪歴がなければ大丈夫だとは思いますけど」


 やはり勝手によくないレッテル貼りがされてるのか。


「犯罪者には入れ墨もしくは焼き印があります。私たちであれば、なければ問題ない判断をしますが、役所の判断ですね」


 それは聞いていないし、見たところなかったはず。

 背中とかはちゃんと見ていないから怪しいが。


「体のどのあたりの入れるのが普通ですかね?」

「手の甲や首が一般的です。もっとも盗みをしていた場合は両手を落とされるのですぐにわかりますけど」


 サラっととんでもないことを言われたな。


「ああ、両手はよほどでないと落とされませんよ。普通は片手です」


 顔にでていたらしいが、気になったのはそこじゃない。

 ファッションかと思っていたが、街を歩いている獣人は手の甲に入れ墨をしているものが少なからずいた。

 とりあえずクロにはその部分にはなにもなかった。


「それなら大丈夫だと思います」

「じゃあ発行してもらえば北門から出られますよ。1年間で中銅貨2枚かかります」


 食べていくのがギリギリの生活だと厳しい感じだな。

 そもそも人手はこの街より外のが必要みたいなのだ。

 ここは大きな街ではないようだし、ここから別の場所へ稼ぎに出るのが通常のようだった。


「発行は即日なので行く当日で平気ですから」

「わかりました、じゃあ明日は外へ行ってきます」

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