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この世界でやれること。

翌日、ダンが準備しているところに文句を言いに行く。


「ダン、あの店のこと知ってたのか?」

「へ? ああ、もちろん知ってたっすよ」

「お前はどこか行ったのか?」

「いや、酒飲みすぎて無理だったっす」


 俺に気を使ってくれたのか?

 いらない気を回してくれたようだが。


「もしかして兄貴は知らないで向かったんですかい? それは悪かったっす」

「まあいいよ。店を選ぶの任せたのは俺だしな」

「次からはちゃんと説明するっす」


 とりあえずそれはそこで終わりになった。



 一月くらいたった後、ギルドに猫娘が来た。


「アキラ様、お客さんみたいですよ」


 フマルに言われる。

 アイフェかダンくらいしか来るような人はいないはずだが 

 フードを被っているが、身長は160㎝くらい、前から見える顔は薄い褐色肌。

 前に会った猫娘のようだ。

 

「アキラ、子供ができたみたいにゃ」


 フードを被った猫娘は俺に向かっていきなりそう告げた。


「はあ!? なんで急に?」


 そう思ったがこの子とは1度寝ている。

 あの1度でできたのか。


「ちょっとアキラ様、本当なんですか」

「嘘じゃないかもしれません」


 まさか異世界で子持ちになるかもとは。

 フードを脱ぎながら彼女は適当な椅子に座った。


「えっと君の名前も知らないんだけど」

「はい? アキラ様もしかして無理やりですか?」

「あ~、彼女はそういう仕事みたいです。俺の知っているやり方ではなかったんで、わからないまましてしまいました」


 フマルがゴミを見るような目になっていたが、普通の目に戻っていた。


「そうでしたか。でも仕事なら避妊していたのでは?」

「にゃあの不手際でその日はしてにゃかったにゃ」

「いや、アキラ様も大人ですし、そこはもう仕方ありませんね」


 その辺は不問なのか? フマルに理解があって助かった形だ。


「それで君の名前は?」

「クロウフォルトにゃ、クロでいいにゃ」

「クロ、俺にそのことを伝えて何をしてほしいんだ?」

「ある程度お金を援助してくれればいいにゃ」

「それだけか?」


 理由が理由だけに普通になんでもしてやるつもりだったが。


「アキラが元の世界へ帰ったらにゃあは1人にゃ、だから1人で子供を育てられるくらいお金が欲しいにゃ」

「残念だけど、すぐには無理だと思う。俺は勇者じゃないから金持ちではないんだ」

「そうなんですよクロさん、アキラ様は見かけだけの勇者様です」


 事実とは言えなかなか厳しいことを言ってくれる。

 一応俺は無責任な態度をとるつもりはなかった。


「どのくらいになるかわからないけど、できるだけのことをする。それは約束するよ」

「にゃあは元から客が取れにゃいからアキラだけが頼りにゃ」


 ようするにクロは普通のウエイトレスの収入しかないらしい。


「フマルさん、こういう場合って何か想定されていたりします?」

「いいえ、勇者様は能力があって、それに見合った稼ぎができる前提になっているようで・・・・・・」


 カウンターの後ろで書類をめくって調べてくれているが、


「・・・・・・残念ながら支度金以上は出ませんね・・・・・・」


 だそうだ、もし世界が救われていきなり俺が消えたらこの子はどうなるのだろう。

 そもそも俺は帰れるのか?

 今更になって色々考え始める。


「アキラ様以外の勇者様たちは、この世界へ来る時に魔王との戦いが終われば帰れる、と言われているようですよ」


 呼んだやつが消えていたら無理だったりしないよな?


「ちなみに今の戦況ってどうなっているんですか?」

「・・・・・・よくわかっていません。もうすぐ終わると言われて数か月経っていますから」


 未定なことが多すぎる。


「ひとまず、金は貯める。急に俺が消えたら、部屋にあるだけすべてクロに渡すってことを頼んでおいていいですか?」

「もちろん構いませんよ」

「お願いします」


 とりあえずこれからの俺の身の振り方は決まった。

 できるだけ金を貯めて、来る時に備えることだ。

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