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レストラン。

 異世界での暮らしもそこそこ慣れてきたある日。

 昼の飯時が終わってちょうど串焼きも売り切れた時だった。


「兄貴、金もだいぶ溜まってきたし、たまにはうまいものとかでも食いに行きましょうよ」

「そうだな、少しは贅沢しに行くか。毎日食酒所や屋台っていうのも味気ないしな」

「北西区、中流区にいい店があるらしいんすよ。そこにしましょうよ」

「まあ任せるよ」


 ダンに店選びを任せて遅めの昼飯を摂りに北西区に向かう。

 着いたのはそこそこ高そうなレンガ造りの外装の店だった、洋食喫茶店といった見た目の店だ。

 綺麗な店に入ると入店のベルとともに茶色髪の犬耳獣人の店員が来る。


「いらっしゃいませです。お二人様ですね」

「はい」

「奥のテーブルにどうぞです」


 何やら変わった喋り方をする店員だ。

 もう癖になってしまった店と客層のチェックをする。

 男性客が6人くらいか?テーブル席しかないようだ。

 とても美味しそうに食べている人もいれば、あまり冴えない顔をしながら食べている人もいる。

 料理を待ちきれないのか運ばれてきていない人は酷く貧乏ゆすりをしている人もいる。


「メニューをどうぞです。決まったらベルで呼んでくださいです」

「ありがとう」


 メニューを開いてみる、きれいな手書きの字のメニューだ。

 一番安いメニューでパン、ウインナー、スープのランチセットが中銅貨1枚、ウインナーをハンバーグにすると

小銅貨5枚追加、ブラウンシチューが中銅貨1枚、骨付きチキンが2本で小銅貨8枚、ビーフステーキが中銅貨2枚とまあまあの値段、ワインはグラスで小銅貨3枚、1本で中銅貨1枚だ。

 どのメニューでもパンが2つと瓶の水はついてくると書いてある。

 現物が来ていないから不明だが、食酒所のランチセットが質より量で安いのがわかる。



「俺はブラウンシチューにしようかな、そっちは決まったか」

「もちろんビーフステーキっすね、あとワイン多めに飲みたいっす」


 ベルを鳴らす、ほどなく先ほどの店員が来る。


「お決まりですか?」

「赤ワイン1本とブラウンシチューとビーフステーキで」

「ご注文承りましたです、お料理はしばらくお待ちくださいです、ワインは今お持ちしますです」


 店員が注文をメモに取る。

 フマルは字が書けない者も少なくない、と言っていたはずなので意外だった。

 そもそも大体の店にはメニュー表すら無く、口頭でのやり取りのみも多かった。


「ダン、ずいぶん豪勢な昼食にしたな」

「いいものは高いんすよ兄貴」


 先にワインが来てダンはもう飲み始めている。


 ちょっとして店員がシチューなどを盆にのせて持ってくる。

 先に俺の料理が来たようだ。


「おまちどおさまにゃあ、こちらブラウンシチューにゃ!」


 猫耳に猫尻尾の獣人の店員だ。

 中背で、くすんだグレーの肩にかかるくらいのふわっとした髪、肌は薄い褐色で、目が大きく幼さの残る顔だちだった。


「ありがとう」

「ごゆっくりにゃ」


 ウインクされる。

 スプーンですくって食べ始めると具材にしっかり下味がついていて旨いし溶けるくらいに柔らかい。

 相当時間をかけて調理しないとこのシチューはできないだろう。

 さらにパンに染み込ませて食べてみた。

 この異世界へ来て1、2を争う美味しさの料理だと思った。


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