ボッチャ1。
他の露店の調査のためにダンと北西区画に行ったときのことだった。
ちょうどその店?が開くところだったのか少し人が多い場所があった。
「ダン、あれは何の人だかりだ?」
「ああ、あれっすか。ボッチャっていうスポーツですよ。玉を投げ合って最後に自分の玉が、投げた白いボールのところに近いほうが勝ち、っていうのが簡単なルールっす」
「ふうん」
「せっかくだから見てくっすか? 入るだけならただっすよ。反応を見るに兄貴は全然理解できてないっぽいっすし。実際に見たらハマるかもしれないっすよ」
「そうだな行ってみるか」
そういって俺たちはその店?に入ったのだった。
入るといきなり魔法で拡声されているであろう大きな声が聞こえる。
「こんにちは~皆さん。今日はトーナメント1回戦最終日、今日は最後の3戦やっていきますよー」
「赤コーナーのヌワラン、出場は何回目だっけ? まあいっぱい出てる彼。今回の倍率は1.3倍!」
「青コーナーのタミプ、彼は初出場だー。これから上がっていくかもしれないぞー。倍率は1.6倍!」
「賭ける時間は試合開始の合図が出るまでの間だから注意してくれよなー!」
ボッチャの会場は大きな体育館のような場所だった。
入口から前は階段と観客席、俺たちから逆側はVIP席のようで高そうな恰好をしている人間が少数と、テーブルなどがある。
少し低い、ちょうど目に入るあたりに方眼紙のような目の入ったモニターみたいなものがある。
中央は少しくぼんでいてそこに右手側が選手と解説の場所のようで、奥が青い腕章の選手、手前が赤い腕章の選手、
そこから左手側へ先は灰色のラインで区切ってあり、黄色っぽい床の領域とその端と手前と奥の両サイドは黒っぽい領域になっていた。
スポーツをやる場所にしては大仰だし、観客と思われる人も大勢いるが、観客の人々はぎらついた目をしながら選手で
あろう2人を品定めしているようだった。解説の言葉を聞く限りどうやら賭け試合らしい。
「とりあえず1試合見ながら兄貴のために解説するっす」
少し階段を下って空いている椅子にダンと並んで座った。




