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串焼き屋7。

「ダン、俺は邪魔になりそうだからまた後で来るよ」


 ダンは頷いてくれる。

 全部で5席しかないが、注文は途切れなくて余裕がなさそうだ。

 空いたそばから客が座っている。


 俺はいつもの食酒所でアイフェと昼食を摂る。


「あれ? アキラ様、串焼き屋やってたんじゃなかったの?」


 ずいぶん話が飛躍している。


「いや、俺は宣伝だけだ。繁盛したら少し金を貰う約束はしてるけどな」

「へー、働くってのも色々だねぇ」


 表立って働くのが難しいから仕方ない。


「アイフェさんのところで人が足りてないなら雑用しようと思ってたけどね」

「う~ん、確かにうちは人が足りてないんだけど、流石に雑用させるのは気が進まないと思うよ」

「いや、事情を知っているアイフェさんの専属のつもりだったんだけど」

「アタシの!?」

「アイフェさんはそこそこ偉いでしょ?」


 仕事が講義ということは下に教える立場のはず。

 高給取りだと読んでいたのだが違ったのか?


「確かにアタシはアキラ様の一人くらい簡単に雇えるけどねぇ、こんな小娘に命令されるのヤでしょ?」

「いや全然大丈夫だけど」

 

 俺は首を振って答える。

 前職はめちゃくちゃな指示にも従っていたから特に気にすることでもない。


「はあ。アタシが嫌だよ。自分より優秀な助手なんて」


 アイフェに断られる。

 じゃあ俺の宣伝で稼ぐ方針は変わらないか。 


「アタシも今度食べに行ってみるから」


 そうしてアイフェと別れて串焼き屋へ戻ってみる。

 横に売り切れの看板が出ている。

 

「兄貴! もう売り切れて店じまいしたっす」


 よかった、想定以上だな。


「いやー、まさかこんなに早く手が空くようになるとは思ってなかったっす」


 俺も全部売り切れるほど人が来るまでにはもうちょっとかかると思っていた。

 まさか1日で成果がでるなんて思ってもみなかった。


「野菜串が全然足りなかったんで全体的に増やすことにするっす。母ちゃんたちの仕事が増えるっすけどね」

「どのくらい増やせそうなんだ?」

「肉と野菜が同じ数くらいっすかね。思ったより女性が来るんすよ」


 役所区画に近いからだろうか。

 あとは天候も考慮すべきだろう。

 雨や雪ではおそらく数が落ちるはずだ。


「たぶんだが、天気で仕入れを変えたほうがいいぞ。出歩きたくないときは売れ行きが悪くなるはずだから」

「わかったっす。けど天気の情報なんてわからないっすよ?」


 そういえばフマルも天気予報がこないとか言っていた。


「考慮するのは当日の朝のだけでいいから無駄を出さない仕入れにしてくれ」

「了解っす。それで売り上げの1割を渡せばいいんすよね?」

「ああ」


 この調子であれば二月もあれば余裕で元が取れるはずだ。


「全部で・・・・・・130枚と水の分あわせて150枚ちょっとの売り上げなので小銅貨16枚っすかね」

「わかった、切り捨てでいいよ。中銅貨1枚と小銅貨5枚でくれ」


 ダンから金を受け取る。

 これからこの調子なら1日小銅貨5枚くらいは貯金できるかな。

 収入があると思うと気がだいぶ楽になった。 

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