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串焼き屋6。

 俺はチラシを持ってギルドを出る。

 まずは中流区の雑貨屋で画びょうを買った。

 貼ってもらう以上これくらい用意していくべきだろう。

 ついでにチラシを張ってくれないか頼むと快く承諾して貼ってくれた。


 そこから南西側のライバルである飲食店以外を巡ってチラシを貼ってもらえるかどうか聞いていった。

 成果は上々、拒否されることは一度もなかった。

 余裕で50枚使いきった。

 これであとは効果がでるのを期待して待つだけだ。



 翌日、朝食を摂ってからダンの店に向かう。


「とりあえずチラシを貼ってきた。すぐには効果が出ないだろうけど」

「わかったっす。これで売り上げが出れば勇者様様なんすけどねぇ」


 そんな会話を席に座ってダンとしていると、


「肉と野菜、1本ずつお願いします」


 いつの間にか横の席にマレインが座って注文していた。


「は、はい。すぐに焼きますんでお待ちくだせぇ!」


 まだ火起こしすらしていなかったダンが慌てて準備し始める。

 偶然か?

 一応聞いてみよう。


「マレインさん、フマルさんから言われてきたでしょ?」

「まあ、流石にアキラ様はお見通しですよね。そうです、フマルに頼まれました」


 ちょうど近くを荷物を木の棒に吊った獣人が通っていく。

 横目で見られているのがわかる。

 俺の黒髪に美人のマレインの銀髪、目立つ組み合わせだろう。

 人が食べてるのを見せられるのはとても効果があるはずだ。

 フマルには感謝してもしきれないな。


「とても美味しくて量も多いですね。看板に偽りなしでしょうか」


 焼きあがった串焼きを食べてマレインは言う。


「ありがとうございやす。兄貴、店開いて初めて褒められました」


 ダンはこちらを向いて言う。


「うん? 兄貴って俺のこと?」

「はいっす! 勇者様は兄貴も同然です!」


 少し恥ずかしいけどまあいいか。

 そういえば俺は言葉に出して褒めてなかったんだな。


「私はもう仕事をしに行きますね」

「ありがとうマレインさん」

「また来てくださいっす」


 マレインを見送る。

 しばらくするとまた見知った顔が来てくれた。

 武器屋のガリバだったか、会ったのがずいぶん前な気がしてくる。


「よう勇者候補様、マレインから聞いて応援にきたぜ」


 マレインは仕事ついでに宣伝してくれているみたいだ。


「戦いがなきゃ俺の店も暇なんでね。それでも腹は減るしな、肉と野菜1本ずつくれや」


 今度は体格の良いガリバが食べてくれている。

 昼も近づき、人通りも多くなってきていた。

 大男でも満足できる店、そんな印象ができるのも良い効果が出そうだ。


「こりゃあ美味いな。店からちょっと遠いが来る価値はあるかもしれねぇ」


 食べ終わったガリバもいい感想を言ってくれた。

 俺の舌は確かだったらしい。

 ガリバを見送り、ちょうど昼の鐘が鳴る。

 ちょっとすると、一気に人が来て満席状態になってしまった。

 まだ並びこそできていないが、この調子なら今日は売り切れ間違いなしだと思う。 

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