表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/67

地図が欲しい5。

 朝起きて、晴れていたらマレインと洗濯をして、ギルドへ顔を出し、食酒所で朝食を摂る。

 もう慣れた朝の習慣だ。

 今日は昼にアイフェから髭剃り用の潤滑材を受け取るつもりだ。

 それまでに昨日買った地図の見方をフマルに教わる。


「今、私たちのいるギルドは南西のここ、こちら側が下流区、その北側が上流区です。どちらも用事が無ければ行かなくていいかと」

「わかりました。覚えておきます」

「とりあえずギルドから北にだけにしておいたほうがいいと思います。治安的に」

「上流区も治安が悪いんですか?」


 行かないほうがいいという以上、向かう気はないのだが聞いておく。


「治安は問題ないですが、一応勇者様の見た目のアキラ様では客引きがしつこいかもしれませんよ」


 そういうことか。

 この辺りを歩く分には売り物がないから声を掛けられないだけで、当然勇者は金持ちという前提があるよな。

 なにせ勇者だからな。本来なら金に困るということはあり得ないのだろう。

 いろいろフマルから聞いて、当面は行くのならばここから北側の中流区までにすることにする。

 昼の鐘が鳴った。


「そろそろアイフェさんを探しに行くことにします」

「はい、行ってらっしゃい」


 食酒所へ向かってアイフェを見つける。

 相変わらず一人でテーブル席だ。


「前、いいかな」

「はいよ、待ってたよ」

 

 昼飯は適当にシチューを頼んでみる。

 テーブルに蓋つきの小さな陶器製の壺が置いてある。

 潤滑材はこれだろう。


「じゃあ大銅貨1枚ね」


 そう言われ、大銅貨1枚をテーブルに置く


「確かに受け取ったよ、使い方の説明は必要?」

「普通に顔に塗って髭を剃ればいいんだろう?」

「うん、薄っすらで大丈夫だと思う」


 まあ高い買い物だし元々ちまちま使う予定だったが。


「あ、お風呂には持っていかないほうがいいよ。髭剃りごとたぶん持っていかれるから」


 だろうな。

 そのあとはアイフェと雑談しながら昼食を摂った。


 昼食を終えて、部屋へ戻って鏡の前で早速髭を剃ってみる。

 スライム由来の潤滑材は普通のジェルと変わらない風だった。

 ちょっとひんやりするかな程度だ。


 ジョリジョリという音とともに顔に1枚刃の剃刀を滑らせる。

 めちゃくちゃ切れ味がいい。まあまあ顔を切ってしまっている。

 剃り味に慣れるまでは喉仏あたりは避けたほうがいいな。


 洗面所で剃刀を水洗いして、顔も洗う。

 剃刀は乾かしておけばいいだろう。

 ついでに歯も磨いてギルドに向かう。


「あ、髭剃ったんですね」

「ええ、慣れないのでだいぶ下手ですけど」

「そんな、傷もないしプロ並みじゃないですか」


 フマルには気づいてもらえたようだ。

 寝るときにシーツに髭の当たるザラザラが気になっていたので買ってよかったと思う。

 

「今日もフマルさんは暇なんですか?」

「まあ晴れていても暇なんですよ。この季節の仕事」


 雪の日も暇、晴れていても暇な仕事か。

 ということで適当に雑談をして過ごした。


 夜を告げる鐘と共にギルドを閉め、風呂と夕食へ行く。

 俺の異世界での日常はこんな感じになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ