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地図が欲しい3。

「はい、到着」


 着いた場所は大小たくさんの煙突が並ぶ、数階建てのところだった。

 すぐ近くに建物はない。周りと比べてこの建物だけやたらと大きく、煙突からもカラフルな煙が出ている。


「まあ1階は大丈夫、一般人も平気、たまに危ないことやるから周りに建物は無いんだ」


 煙を見て、不安そうなのが顔に出ていたらしい。


「魔法と魔石の研究をする施設でもあるから、使える魔石の研究はいつでも危険と隣合わせなんだよ」


 頑丈そうな金属製のドアを開けて中に入る。

 ギルドと同じで受付がある。


「アイフェさん、お早いお帰りですね」

「ちょっとお客さんが来てるんだ、街の地図が欲しいんだって」

「わかりました、今出しますから待っていてください」

 

 受付さんは後ろに引っ込んで地図を探してくれている。

 カウンター近くにあるガラスケースには魔石のサンプルが並んでいるようだ。

 

「私たちの研究で見つかった、いろんな機能を持つ魔石を並べてあるんだ。これをいくつも組み合わせれば遠くの人とも話せるってわけ」


 魔石の組み合わせでどんなことでもできそうに聞こえる。

 だけど実際にはとんでもない苦労をしないと実現しないのだろう。

 現代でも研究職というのは限られた人間しかできないものだ。

 魔力がないとスタート地点に立てないのであればなおのこと難しいだろう。 


「時計とか、つい最近、日の位置に反応する魔石が人工で作れるようになったからずいぶん安くなったんだけど」


 人工の魔石もあるのか。


「魔石が人工量産できるなら安くて大きな力が使えないのか?」

「そうでもないんだ。時計とか小さな力でいいものならともかく、組み合わせる必要のない単一で使う魔石でも、列車の動力に使うような魔石は天然じゃないと効率が違いすぎて作るととんでもない金額だし、交代人員も大量に必要だから普及しないんだよね」


 そんな会話をしていると、紙を手にした受付の人が戻ってくる。


「はい、街の地図です。中銅貨3枚ですよ」


 俺はカウンターに1枚大銅貨を置き、おつりの中銅貨7枚を受け取る。


「よく見たらお客さんて勇者様じゃないですか、アイフェさん?」

「ん~と、この勇者様、この街が初めてだからちゃんと地図持って歩きたいんだって。あとこの人が来たのは秘密ね」

「よくわかりませんが、わかりました」

「ついでにちょっと案内してくるから。ちゃんと講義までには戻るから」


 そういって2人で魔法協会を後にする。


「これでようござんしたか? 勇者様?」

「ありがとう。余計なことを言って期待させるのも問題なんだろ?」

「そういうこと。黒髪は目立つけど、何も言わなければ街に息抜きしに来た勇者様でしかないんだよ」


 事情を知っている人が隣にいてよかった。

 俺一人では質問に答えるのも苦労したかもしれない。

 どこまで話していいのかわからなかったし。


「じゃあ、雑貨屋に行こうか。あ、地図を見ながらアタシを案内してみたりする?」

「流石に無理だ。地図をなぞりながら向かってくれると助かる」


 俺は地図を見ながらついて行く。

 そんなやりとりをしながら雑貨屋へ向かう。


「中流区のところでいいよね? まさかそんなにお金持ってないだろうし」

「あんまり高くないとこで頼む。正直収入がないからある程度節約していきたい」

「そうだよねー、いきなり異世界に一人ぼっちでしょ? アタシじゃあ適応できる気がしないよ。今ここの通りね」


 アイフェは地図を指して現在位置を教えてくれる。


 さっきは下流区の東にいたらしい。

 向かう先は中流区、つまり北西あたり。

 

「遠くないのか?」

「大丈夫、こっちに近いところだから」


 ついて行くと見覚えのある景色になった。

 武器屋や家具屋へ行くときに通った気がする。

 あれは中流区への道だったようだ

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