雪の日は暇8。
とりあえずここまでの街の情報をまとめると、
東西南北とその間に門がある。
地区によって貧富の差や店のある場所が固まっている。
魔法はあるが、誰でも使えるわけではない。
娯楽は少なく、酒は日常的に飲む。
移動手段は馬車や牛車がある。
冒険者という職はあるが実態は何でも屋。
聞けたのはこのくらいだろうか。
俺が生活するにあたって肝心そうなのは、貧富の差が地区によってあるというところだろうか。
手持ちがないのに上流区へ行っても仕方ないだろうし、下流区の危険地域へは行く必要はないだろうから。
入口の扉が開いてマレインが入ってくる。
「雪が強くなってきたので戻ってきました」
いつの間にかマレインは帽子を被っているし、コートのような厚手の上着を着ていた。
さっき出るときに着替えて行ったのだろうか。
「おかえり。ねぇマレイン、暇つぶしって何かないの? 手先が器用じゃなくてもできるやつ」
「もちろんアキラ様が部屋でやるんですよね? ・・・・・・ストレッチとかでしょうか、体も温まりますし」
着ていたコートをハンガーへ掛けながら答えるマレイン。
部屋で暇だったら筋トレでもしてみるか。
銭湯へ行けば汗も流せるしちょうどいいかもしれない。
「あとは日記をつけるとかですかね」
それも悪くなさそうだ、日本語で書けば何を書いても読まれないし。
問題は書くような出来事が現状では少なすぎるところだが。
「ちょっと値が張りますが、お酒や紅茶を飲むとかどうでしょう?」
悪くはなさそうだが、流石に本とか欲しいな。
「マレイン、私の暇つぶしとかないの?」
「フマルのは・・・・・・仕事ですから耐えてください」
「でも、マレインがここにいたらぬいぐるみ作ってるでしょ?」
「それは・・・・・・まあ」
暇ならマレインでもやりかねないのか。
8時間以上暇なんだもんな、せめてラジオくらい欲しいのはわかる。
「今日1日、誰も来ていないのでわかるとは思いますが、このギルドの冬は基本暇なんです。危険な生物も冬眠していて討伐依頼も来ませんので」
「雪でさえなければ稀になにかあるんですけどね。水が出ないとかの案件は魔法協会に行ってもらいますけど」
ホントに平和なんだな。
なんだかんだ話をしているうちに3回鐘が鳴って夜を告げる。
今日のギルドの業務は終わりだ。
「では今日は3人で夜ごはんを食べに行きましょうか」
「ラベンさんは呼ばないんですか?」
「ラベン様は家庭があるので帰るでしょう」
ラベンは既婚者らしい。
「はい、みんなお疲れ様。また明日よろしくね」
そういってラベンは2階から降りてきて帰っていく。
「じゃあマレインとアキラ様は先に行っててください。私は火を消して扉も閉めてから行きますから」
そんな感じでマレインと共に食酒所へ行って先に注文をしておく。
フマルも合流し、マレインもフマルも酒を少し飲んでいた。
3人で歓談しながら楽しく夕食を終えた。
部屋へ戻って、火打ち石での火つけを試してみる。
数回失敗したが、何とかつけることができた。
寝るときは火は消すものなのだろうか?
寒いが、もしもの時に危険そうなので、火かき棒で木を崩して火を消してから寝た。




