雪の日は暇4。
「マレインさんも同じ受付なんですか?」
「マレインは私よりも優秀なんですよ・・・・・・ 受付もできるんですが、体力もあるので外へ御用聞きしてもらうことのが多いですね」
なんとなくそんな気はしていた。
なんでもできるタイプらしい。
「今日も朝食を摂ったら、そのまま各所へ回っているんじゃないのかな? 魔法協会、教会、門、そのほか商店なんかへ行ってるはずです。いろいろ聞いて、冒険者の派遣が必要かどうか聞いて回るんです」
歩き回るのが仕事なのか。
俺も前職では歩くのが基本、と言われて情報収集させられたものだったが。
「家事も一通り全部こなせるはずですし、裏方としても完璧です。正直なんでここで働いているのか不思議なくらい」
だ、そうだ。すごいなマレイン。
「あれで魔力があったら今頃は上流階級へまっしぐらだったんじゃないですかね」
「魔力の有無はそんなに大きいものなんですか?」
「そうですね、一家に1人魔法使いがいれば安泰と言われるくらいには。大きな魔力が扱えれば、本当に1人でなんでもこなせてしまいますから」
「魔石さえあれば、あとはそこに魔力を流せる人がいればいいですからね。例えば冬場でもいちいち暖炉に頼る必要なく過ごせます。暖かくなる魔石さえあれば薪も火打ち石も必要ありません。初期投資だけで済むんです」
雪の日は薪の消費も多い、それが必要ないとなるとずいぶん楽なのは間違いない。
「火をつける、水を出す、風を起こす、そんなことは上級の魔法使いにしかできませんが、魔石があれば魔力を送り込むことで、その魔石に対応した事象を起こすことができるんです」
上級者ではないと火を起こすのも難しいらしい。
唱えれば掌から火が出る、そんな世界ではないようだ。
「このギルドは暖炉、食酒所は魔石で暖をとっていますよね? やはり魔石というのは高価なものなんですか?」
「だいたいは大きさで値段は決まる、そう言われていますが効果よるところが大きいです。ここが暖炉なのはそもそも魔力を入れる人がいないので。生活で使うようなものは国が補填してくれるものもあります」
異世界にも生活で必要なものは国で補助してくれるらしい。
「温めたり、冷やしたり、光を灯すようなものは比較的手に入りやすいので安価で買えます。もっとも、大きなものは高いですけどね、輸送費もかかりますし。他には・・・・・・例えば2つで対になっているものとかは高価です」
「他にも色々な効果の魔石があるんですか?」
「私は詳しくないですけど、組み合わせることで様々なことができるそうです。他の場所の景色を見たり、声のやり取りをしたり、日の場所を感知して時間を測ったり」
テレビ、電話、時計のようなものだろうか。
ゴーン、ゴーンと昼を告げる鐘が鳴る。
いったん昼食でも摂ってこよう。