入浴。
コンコンという部屋へのノックで目が覚めた。
起きて裸足のまま扉へ向かい、開けた。
そこにはフマルが立っていた。
「あっアキラ様、寝ていましたか? 一緒に銭湯へ行こうと思ったのですが行きますか?」
「行きます。昼間動いたので汗もかいていますし」
「ついでにお夕飯にも行きましょう。昼間誘ってくださいましたし」
とても助かる誘いだった。
現代では毎日風呂に入ってから寝ていたのだ。
お湯に浸かってリラックスしたかった。
「では待っていますので準備してください。あ、銭湯は小銅貨3枚です」
「わかりました」
俺は靴下を履き、靴を履き、布袋に小銅貨5枚と中銅貨1枚を入れていく。
風呂からでて寒いとまずいのでカバンに入っていた長袖ジャケットを持っていく。
案の定外に出ると少し寒かった。
夜になって気温が下がっているようだ。
「準備できました、行きましょう」
フマルについて行く。
「お仕事はもう終わったんですか?」
「はい。ギルドは夜の鐘が鳴ったら閉めるので、そのあと少し作業して終わりです」
残業なんてものはないらしい。
「もちろん暇なのはこの季節だけですよ。夏と秋は依頼も増えるので夜間の対応のために人を増やしていますし」
銭湯へは少し歩いて門の近くにあった。
「えっと、流石に混浴ではないので周りの方を見て真似をしていただく感じになるんですけど」
「ええ、何かマナーとかありますか?」
「まず洗い場でちゃんと体を洗ってから湯舟に入ってください、あとはお小水は厳禁です。」
「わかりました」
しごく当然のことを注意される。
まあ普通の人はやらないだろうが念のために言われたのか。
入って番頭に金を払って布をもらい、男湯と女湯に分かれた。
ロッカーがある、木札の鍵に紐がついている。
これに服とか貴重品を入れて鍵と布を風呂に持って入る、ほぼ現代と変わらなそうだ。
中に入ると洗い場が並んでいて、老若、獣人も関係なく人がいる。
適当に空いている椅子に座って木の桶にポンプからお湯を出す。
洗面所のポンプや井戸のポンプと同じ仕組みで下からお湯を引っ張ってきているらしい。
お湯を浴びると生き返るようだ。
ついでに全身を布でこすり、流す。終わって布を絞っておくのを忘れない。
そして湯舟に浸かる、布は近くに置いておく。
充分に温まってから湯舟からでて絞った布で全身を拭いてあがった。
男湯から出ると番頭に布を返す、代わりに水の瓶をくれる。
コーヒー牛乳がよかったが異世界にあるわけなさそうだ。
誰かと一緒にくる想定もされているのか待合に椅子もある。
水を飲みながらフマルを待った。
「待たせちゃいましたね。すみません」
頬を赤くしたフマルが水の瓶を持ってこちらにくる。
髪が乾くまでフィッシュボーンにはできないのだろう。
長い髪を腰近くまでストレートにおろしていた。
フマルも持っていた上着を羽織る。
「じゃあご飯へ行きましょうか。瓶は食酒所でも回収してくれるので」
このあとはフマルと夕食だ。