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おまけ#03

 夏休みに入ってしばらく経ったある日、アグリとノゾミは地元の市民会館を訪れていた。

 今日はサークルのOBOGも集まる全体会議だという。先月開催を伝えられた際は、サークル長から「特に新入生はよっぽどのことがない限り参加してほしい」とお達しがあったので、ほとんどの同期が参加するらしい。


 開場時間までまだ時間があるようなので、二人はあちこち見てまわりながら時間まで暇を潰すことにした。

 懐かしいというほど最後に訪れてから時間が経っているわけでもないが、せっかくそれなりに思い出深い土地を訪れたので、写真を撮ることにした。


 そうこうしているうちに開場時間になったので、会場に入った。


 予め指定されていた席に着いて時間を待つ。その間、玄関ホールで出席確認と同時に渡されたパンフレットを開いてみた。

 タイトルに反してポップなデザインをしたパンフレットには、今年のテーマと式次第、サークルソングに加え、サークルの歴史も載っていた。

 このサークルが設立されたのはこの町にシミラが溢れたあの事件から何年も経たない頃らしい。そう考えると、合唱部に曲を残した先輩はあの事件にしっかり関わっているはずだ。道理で同じ曲をサークルソングにできるわけだと思った。


 まもなく開始だというアナウンスがあった。

 こういうアナウンスがあるとちょっと緊張するよなあ。


 パンフレットにも書いてあるちょっといかつい感じのする真面目な会名が読み上げられ、開会が宣言された。


 初めにいつか話した初代サークル長が壇上に上がり、自分たちに語りかける。簡単な歴史と自分たちに課せられた使命。元々知っていた自分たちにはわからなかったが、初耳であるはずの同期が動揺していなかったところを見るに、濁しに濁して話していたようだ。


 会は滞りなく進み、後は閉会のあいさつくらいのところで問題が起こった。

 突然、遠くからドン、という衝撃音が聞こえ、それと同時に地面が揺れたのだ。

 地震だと騒ぎ始めた人々を知らずか、ノゾミはなにやら真剣な顔で呟いていた。


「これは地震じゃない」


 そう言い残すとノゾミはホールを飛び出していった。


 混乱する人々を落ち着かせるアナウンスにハッとしたアグリは、ワンテンポ遅れてノゾミを追いかけた。




 外に出ると、なにやら焦げ臭い匂いがした。

 アグリが匂いのする方へ向かうと、怪しい人たちとにらみ合うノゾミがいた。


「キミ!」


 そこへ駆け寄るアグリにノゾミが意識を逸らしたその時。


 パン、と乾いた音がしたかと思うと、ノゾミはその場に倒れ込んだ。


 その場にうずくまるノゾミを後目に、怪しい人たちはその場を去る。

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