#38
夏休み一日目。今日は大学の見学に行く。
自分は特に進路を決めていないので適当に選んだが、似たような人は多いらしい。
別のクラスの友人を見つけた。知り合いがいるのは気楽でいいが、基本的にクラス別での行動なので、意味はない。
山川県には数える程しか大学がないため、とりあえず県外に出ることになる。
三大学を見学することになっており、午前は一大学を見学した。
その後、向かった二つ目の大学で、説明を聞く前に学内にある食堂で昼食を食べた。
適当に選んだ丼物は普通に美味しかった。友人とはここで話した。
この大学は多分学力的に無理だとか、興味のないものを見学するのは面倒だとか、他の友人ともメッセージを通して話した。
三つ目の大学は山川県にあるため、少し時間がかかる。時間帯もあり、眠くてぼんやりしてしまう。
正直、説明を聞きながら半分寝ていた。実際に夢の中だったのかもしれない。ただ、そういうやつは多かったと思う。
そういうところに限って、後々志望校になったりするもんだよとか友人は言っていたし、実際自分も思っているが、流石にないと思う。
やっぱり県外に行きたい気持ちは強い。大したものがないからな、この町。
特に自分たちのような若者が行くようなところが少ないところが嫌だ。
博物館とか美術館とか行ったことはあるけど興味ないし、科学館とかあるけど、それもな……。
やっぱり県外には行きたい。特に都会の便利なところがいい。不便すぎる。
自分の学力ならどこへ行けるのか、調べてみてもいいかもしれない。
そんなことを思った。
昨年と同様に、合唱部の夏季講習があった。
定員は三人なので、年少者である二年二人は確定として、先輩たちはじゃんけんで行く人を決めた。
その結果、かのこが行くことになった。
「進路って考えてる?」
昼休憩、昼食を食べながら話していたところ、かのこが聞き出した。
「いえ、まだ考えてないです」
「うちら全員バラバラやから、話くらいは聞くよ」
「そのときはお願いします」
果たしてそんなときは来るのだろうか、とアグリは答えながら思った。
「くさもちちゃんは?」
「……生物系の、特に植物に詳しいところを探しています」
「そうなんや。ええと、進路指導室には行った?」
「まだです」
「じゃあ一回行ってみたらどう?」
「……そうですね。明日行ってみます」
ありがとうございます。と言い、スケジュール帳に書き込むミドリを見て、アグリは少し引っかかった。
「こないだ全然決まってへんって言ってなかった?」
「系統すら決まっていないとは言っていないはずですが」
「なにその屁理屈」
「……ただ、志望校は決まっていないので、まだ決まっているとは言えませんよ」
「いや、それはそうだけど」
そんな話をしながら、私たちは後半の部が始まる時間が来るまで駄弁っていた。




