表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/100

#32

 詳細を聞いた数日後、他のまだ失踪していない当事者との面会がかなった。

 ホームルームの関係でF組の少し遅くなってしまったが、放課後、アグリとミドリは約束の場所へ向かった。

 前回と同じく食堂に行くと、前回出会った三人の他に、見知らぬ人物が二人いた。


「すみません、遅くなりました」

「いいよ、いいよ。ナオ君から聞いてたから」


 どうやらナオが伝えてくれていたらしく、ほっと胸を撫でおろす。


「それで、その人たちが?」

「いなくなった奴らを除けば、これで全員だな」


 アグリは虫眼鏡――はまっているのはレンズですらないただのガラスだが――を通して彼らを見た。

 そんなことをせずとも、見ようと思えば見えるはずだが、ことあるごとに調整するのはたやすいことではないため、こうしているのだろう。

 ミドリも自前の眼鏡を外せば見えるようにしているが、正直視力の問題で不便だと思っている。


「特におかしなところはなさそうですけど……」


「……ねえ、くさもちちゃん。やっぱりこれ、私たちの仕事じゃないんじゃ……」


 アグリはミドリに耳打ちするが、そのミドリは何の反応も示さない。


「くさもちちゃん?……ミドリちゃん!」

「……声が、聞こえる」

「え?」


 そう呟くと、ミドリは食堂から飛び出していった。

 アグリは集まった当事者たちにひとこと言うと、ミドリを追いかけ始めた。

 幸い、アグリの方が足が速いため、すぐに追いつくことができたが、ミドリの狙いを知るために、そのまま泳がせることにした。


 アグリがミドリを追っていくと、学校裏にある裏道に着いた。木々が生い茂り、なんだか薄暗い。

 その途中でミドリはしゃがみこむと、なにやらごそごそと漁り始めた。


「祠?」


 近づいてみると、そこには小さな祠があった。

 扉を開け、中から取り出したのは折り紙でできた鶴だった。

 見た目はただの赤色の鶴だが、よく見ると様々なシキサイが混ざったような淀んだ色をしている。


「もしかして、あの……」


 先日見せてもらった写真に写っていた折り鶴と同じ色だ。

 もし、これが写真の鶴と同じものであるのなら、一体誰がこんなところに置いたのだろうか。


「聞いてみましょう」


 そう言うと、ミドリは折り鶴を祠に戻し、食堂へ戻っていった。




 食堂にはまだ人が残っていた。


「あの鶴ってどうしましたか?」

「え?捨てた……はず……よな?」


 急にそんなことを聞くので自分の記憶に不安を感じている。

 他の人たちもお互い顔を見合わせている。


一輝(カズキ)が片付けとくって言ってたような」

「じゃあ捨てたわ」


 カズキは彼らのリーダー的存在で、オリガミ様も彼の提案で行ったのだという。


「やっぱり俺のせいだよな。俺が――」

「ストップストップ」

「――で、解決法はわかったんすか?」


 責任を感じて自分を責めるカズキをなだめながら、十夜(トオヤ)が二人に尋ねる。

 その冷ややかな目線に、アグリは恐怖を感じた。


「まだわかっていません」

「……やっぱり、オカルトなんてどうしようも――」

「いえ、これはわたくしたちの領分ですよ。アグリさん」


 そう言うミドリがにやりと笑った気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ