#30
連休が終わり、授業が再開した。
相変わらず、五人が揃うのは週にニ、三度のことだったが、特に目標が設定されていない現在、気にしようもなかった。
いつだったか、このことを友人にも憐れまれたが、来ないものは仕方がないので、気にしないことにしている。
この日、アグリが音楽室を訪れると、誰もいなかった。
しばらく待った後、連絡を確認すると、用事で遅れると言ってきた先輩以外は欠席のようだった。
その先輩に連絡を入れ、アグリは帰ることにした。
友人には部活の者もいたが、他の者は自転車通学だったり、おそらく授業が終わってすぐの電車に乗って帰っていたり、と会うこともない。
一人で駅までの道のりを歩くのはいつ振りだろうか。
変な時間に出てきてしまったためか歩いている人は全くおらず、静まりかえっている。
片道十分ほどの距離ではあるが、それが妙に長く感じた。
駅に着くと、授業が終わってすぐの電車に乗れなかったらしい生徒で騒々しかった。
残念ながら、アグリの友人は無事にひとつ前の電車に乗れたらしい。
見知った姿は、あまり親しくないクラスメイトや元クラスメイトしか見当たらなかった。
聞こえてきた会話に、今日出された課題の存在を思い出し、少し気分が沈んだが、好きな音楽を聴いて忘れることにした。
アグリはささみの作る曲が好きだ。
自分で作曲を始めるほどには影響を受けている。
それはもう一人の同級生の部員がその本人と知ってからも変わらない。
シキサイを見る人はアグリの知る限り、他に三人いる。
そして、その全員が同じものを見ていないとアグリは思っている。
同級生である二人に教えてもらった桜を見て、アグリが受けた印象と、二人が絵や曲で表現した桜が伝える印象が違って思えたのだ。
それを伝えたいために今作っている曲は、まだ納得のいく出来ではないが、もうすぐ完成しそうではある。
帰ったらそれに取り掛かりたいが、数学の課題が邪魔をする。
仕方がないので現実を受け入れ、アグリは駅にある時計を見た。
まもなく列車が到着する。




