#28
「あの子とは最近どう?」
「あの子、ですか?」
「あさひ」
「ああ、それなりに話してはいますが」
「会ってみてほしい」
(こんなことが起こり得るのでしょうか)
先輩の仲介で対面した女子生徒は、先日目撃した"鳥人間"と同じ色をしていた。
「初めまして。ささみと申します」
「どうも。あさひです」
ミドリは気のせいだと思うことにし、応対した。
『あなたもシキサイ能力者だったんですね』
帰宅後、メッセージが届いていることに気づいた。
そこには、自分たちしか知らないはずの単語が記載されていた。
様子を見る必要があると思い、トオルに連絡を入れておいた。
トオルはこの春から大学に進学し、学業の傍らシキサイやシミラについて調べている。
そのため、現場にいるミドリたちに、何か気づいたことがあれば報告するように言っていた。
『イロドリに入りませんか?』
送られてきていたメッセージには初めて聞く団体への勧誘が付いていた。
調べる必要はあると思ったが、怪しいので丁重に断っておいた。
「というようなことがありました」
翌日の昼休憩、三人は相談がてら中庭で昼食を食べていた。
「潜入調査なんて危ないからね」
「私たちは地道に調べようか」
そう結論付けた直後、目の前をシミラと鳥人間が通過した。
「誰も見えてないみたい」
「確かに。あんなカッコしてたら嫌でも目立つよね」
「しかし、目撃者は少なくはありませんでした」
シミラが常人には見えないことはわかっているが、正体が人間であるはずの鳥人間も見えていない様子だ。
鳥人間は目立つ格好をしているため、嫌でも視線が向くはずだが、この場にいる誰も気にする様子はなかった。
「どうする?」
「あんまり行動はしない方がいいですよね」
「じゃあ、様子見かな」
小さなシミラについては、すぐに問題を引き起こすことはないため、基本的に空いているときに対応している。
だから、そのときはただ彼らの様子を見ているだけだった。
数日後。
その日は休日だったが、三人は校内を見回るために集まることにしていた。
ミドリとアグリは駅前で先輩たちと別れ、ユカリを待ち、再び学校へと向かった。
時刻は昼過ぎを指していたため、先に昼食をとることにした。
中庭で食べていると、青いローブの鳥人間が現れた。
「……何の用ですか?」
「君たちの存在を許すわけにはいかない」
「え?」
その言葉の意味を理解する間もなく、鳥人間は三人に向けてナイフを突き出した。
「な、何のつもり?」
「そのバケモノを退治してやる」
アグリの質問に訳のわからない返答をする鳥人間はじりじりと距離を詰めてくる。
「三枝?」
ユカリが身動きひとつ取らないミドリに声をかける。
「に、二分割、しないで」
「……分割?」
ミドリはこの状況に種類の異なる恐怖を感じているようだった。
ユカリはその様子を不思議に思いながらも、逃げるように誘導する。
「シミラも、シミラを守る者も、存在する価値は――」
突然鳥人間が飛び退いた。そこへシミラが飛び込んでくる。
アグリがどこからか連れてきたシミラを鳥人間にけしかけたのだ。
「次こそはその首を刈り取るからな」
物騒な捨て台詞を吐き、鳥人間は去っていった。
「……あさひさんはシミラを憎んでいるのですね」
鳥人間が去り、正気を取り戻したミドリは、そっと呟いた。




