第92話「満月の下で」
甲高い金属音のような音を立てて、マルコシアスのトランプとヘルタースケルターの花びらが、激しくぶつかり合う。
マルコシアス「飛んでくるやつは俺が防ぐ!お前らは貯蔵塔を何とかしろ!!あのツタに気を付けろよ!!」
暮雨「承った!」
エルザ「ここは任せたよ!!」
重たい身体を引きずりながら駆けていく暮雨とエルザ。
しかし、たちまちヘルタースケルターのツタが唸りを上げて迫ってくる。
暮雨「破っ!!!」
ツタを打ち払う暮雨。
そこへ、花びらが飛来するが、後ろからマルコシアスのトランプも、それらを抑えに飛んでくる。
暮雨「エルザ殿!突出し過ぎぬよう!!」
エルザ「安心しな!足を前に出すので精一杯だよ!!」
搬入路を真っ直ぐ進むエルザと暮雨。
その両側から、巨大なツタが、施設を破壊しながら迫る。
暮雨「っ!!舞牡丹五月雨!!!!」
暮雨が、袈裟懸けに舞牡丹を振るう。
すると、搬入路のアスファルトに刻まれていた傷が、舞牡丹五月雨の能力でツタに写り、ツタが両断された。
暮雨「はぁ…!はぁ…!一か八かであったが…、どうやらヘルタースケルターはまだ生物の域を出ておらぬようだな」
エルザ「暮雨!魔力はまだ保つかい?!」
暮雨「正直に申せば十全とは言えぬが…、なに、せっかくの見せ場。ここで奮わねば嘘と言うものよ!」
エルザ「頼もしいね!」
貯蔵塔まであと少し。
ヘルタースケルターを見上げるエルザと暮雨。
エルザ「さぁて、どうやってあの女王様を引きずり下ろしたもんか!」
暮雨「スマイルはいずこへ?!」
満月を背に、貯蔵塔の頂上に佇むヘルタースケルター。
次の瞬間、スマイルがその背後に舞い上がった。満月に浮かび上がるシルエットが1つ増える。
スマイル「っうぉおおおおおおおあぁ!!!!」
暮雨「っ!!」
エルザ「マルコシアス!!!」
エルザが振り返り、マルコシアスに呼びかける。
マルコシアス「人使いが荒いな!!」
マルコシアスが、離れた場所から、トランプを纏めて飛ばす。
足元まで飛んできたトランプが足場となって、エルザを空中へと押し上げた。
エルザ「ジャンヌ・ダルク!!」
スマイル「ジル・ド・レェ!!!」
エルザとスマイルが、空中で障壁を展開し、ヘルタースケルターを挟み撃ちにする。
ヘルタースケルターは、ツタで球状に自身を覆い、2人の攻撃を防いだ。
エルザ「くぁあああああああ!!!!」
スマイル「っおおおおおおおお!!!!」
激しくせめぎ合う障壁とヘルタースケルター。
しかし。
エルザ「くっ…!!魔力が…!!!」
ヘルタースケルター『ここまでよ』
ヘルタースケルターが、ツタを一気に振るって、障壁を弾き飛ばす。
嫌な音を立てて、障壁が粉々に割れる。
スマイル「ぐうっ…!!!!」
エルザ「うあぁっ!!!!」
ヘルタースケルターのツタが、スマイルを空中で掴み、エルザにぶつけた。
地上へと吹き飛ばされる2人。
暮雨「エルザ殿!!!ぐあっ!!!!」
地上にいた暮雨も、ツタで吹き飛ばされる。
マルコシアス「エルザ!!!」
自分の方へ吹き飛ばされてきたエルザを受け止めようとするマルコシアス。
しかし、勢いを抑えられず、諸共、後方へ吹き飛ばされた。
スマイルも遅れて地面に叩きつけられる。
マルコシアス「うっ…!ぐぁ!!!!」
そして、地面に倒れ伏す4人。
その前へと、ヘルタースケルターが舞い降りてくる。
ヘルタースケルター『言ったでしょ?ここまでだって。さぁ。お仕置きよ』
ツタが、一斉に夜の空に閃き、振り下ろされる。




