第91話「世界の行方」
スマイルとエルザの見下ろす貯蔵塔の麓は、砂煙で視界が遮られていた。
が、砂煙を切り裂き、エルザとスマイル目掛けてツタが振るわれる。
スマイル「ッ!!」
エルザの襟首を掴み、スマイルは塔から飛び降りた。
空中で、エルザを脇に抱えるように抱え直すと、巨大なバルーンを広げるスマイル。
エルザとスマイルが視線を先程まで自分たちの居た貯蔵塔の上に向けると、そこには、巨大な翼を広げたヘルタースケルターの姿があった。
ヘルタースケルター『悪い子ばっかりね…!お仕置きしてあげなきゃ』
ヘルタースケルターから大量のツタが、猛スピードで伸びていき、地面を這う。
それはやがて、搬入路の両側を挟むように覆い、巨大な食虫植物の顎のようにエルザたちを囲んだ。
ヘルタースケルター『誰もここから逃がさない。お友達になれるまで、ちゃあんといい子になれるまで、1人も逃がさないから』
マルコシアス「やれやれ。ここまでド派手なパーティーは、98年のヤツ以来だな。帽子が見つからねえのが悔やまれるぜ」
暮雨「…ふっ……。僕なぞ斯様な有様。穴があれば入りたき心持ちよ」
そこへ、スマイルとエルザが降り立つ。
スマイル「無駄口叩きに来たんなら帰れ。というかそもそも、死に損ないが2人増えたところで邪魔なだけなんだよ」
エルザ「…ふっ」
ジャンヌ・ダルクを支えに、辛うじて立つエルザ。
暮雨「人のことを言えた様ではなかろう」
マルコシアス「へっ。死に損ない4人組か。黒の街を救うのに相応しい面子だな」
エルザ「一緒にしないどくれ。私一人でも余裕だよ。死にかけで街を救うのは初めてじゃないからね」
スマイル「ふん。最後でもないだろうさ」
暮雨「いやはや。誠、頼もしい限りよ」
ヘルタースケルターの翼が、紅く輝き始める。
暮雨「して、勝算のある者は?」
エルザ「…今はまだ。だが、あの貯蔵塔をどうにかして壊せれば…」
マルコシアス「あの塔は4重構造の上に硬ぇぞ。誰かさんがやたら頑丈に作ったお陰でな」
スマイル「…悪かったな」
エルザ「やめやめ。反対しなかった私らも悪いさ」
暮雨「くっ…。散牡丹があれば…」
マルコシアス「しゃあねえ!コツコツ行くしかねぇな!スマイル、今だけ全部水に流してやる。しゃっきり合わせろよ!!」
スマイル「ゴメンだね。誰がお前になんぞ合わせるか、チビ」
搬入路を横切るように走り、施設の屋根に登り始めるスマイル。
マルコシアス「てめぇー!!人が1番気にしてることを!!俺だって好きで低身長やってねえってんだよ!!5cmでいいから寄越しやがれこの木偶の坊が!!!」
エルザ「馬鹿!前見な前!!」
暮雨「マルコシアス殿!!!」
ヘルタースケルターの翼から、紅く光る無数の花びらが、エルザ達に放たれる。
マルコシアス「覚えとけよ!!!クソがぁ!!!」
マルコシアスがトランプを飛ばして迎撃する。
世界の命運が懸かった戦いの火蓋が切って落とされた。




