第89話「保管施設」
ライムライト保管施設。
巨大な機械仕掛けの塔が奥にそびえ立ち、その手前には、サーチライトに照らされた各種施設が立ち並んでいる。
厳重なゲートは現在は開かれ、塔へと真っ直ぐ続く搬入路が見えていた。
その搬入路の中央。サーチライトの中。
エルザ「っはぁ…!…はぁ!…鴉のとこの若いのは、上手くやってくれたみたいだね…」
震える膝に手を付き、息を整えるエルザ。
辺りは、無人だった。
そこへ、静寂を破るように現れたのは、ヘルタースケルターだ。
ヘルタースケルター『なぁに?もう疲れたの?夜はこれからよ。うふふ…』
エルザ「ちっ…、ヴィヴィアン…。懲り懲りだよ。長すぎる夜も、この追いかけっこも」
エルザが、ヘルタースケルターを睨むように目を向ける。
エルザ (どうする。あの塔の中にたっぷり詰まったライムライトに奴を落とせれば…。それか、あの塔を倒して中身を浴びせるか…。どちらにせよ手詰まりだ…。)
ヘルタースケルター『ねぇ、次は?』
エルザ「…あぁ?」
ヘルタースケルター『3回捕まえたから、アウト。次は何して遊ぶの?』
エルザ「はっ。デートだって言ってるだろ?ここで、死ぬまで踊ってやるよ」
両足を揃え、半身になり、ジャンヌ・ダルクの切っ先をヘルタースケルターに向けて構えるエルザ。
ヘルタースケルターが、ふわりと宙に浮く。
ヘルタースケルター『あぁ、素敵』
ヘルタースケルターが、目にも留まらぬ一撃を放つ。
エルザ「っぐぁあ!!」
何とかジャンヌ・ダルクで受けたエルザだが、搬入路の上を10m以上吹っ飛ばされる。
宙を舞うエルザ。
エルザ (くっ…、腕の感覚が…!)
宙で姿勢を制御し、搬入路に足をつけて着地するエルザだが、勢いを殺しきれず、数mほど音を立てて後退する。
エルザ「っう…!」
たまらず膝を着くエルザに、瞬時に肉薄するヘルタースケルター。
ヘルタースケルター『えい!』
エルザ「っうあぁああああ!!!!」
ヘルタースケルターの飛び蹴りがエルザにキマる。またも吹っ飛ぶエルザ。
今度は、空中で体勢を立て直せず、地面をバウンドしながら転がっていく。
エルザ (あぁ…!意識が…。ヤバい…、もう少しだけ保ってくれ…!頼むから…!!)
力なく、アスファルト舗装の搬入路の上に叩きつけられるエルザ。
ジャンヌ・ダルクを持った右手を支えに起き上がろうとするが、上手く力が入らず、起き上がれない。
そこへ、音を立てて歩み寄るヘルタースケルター。
ヘルタースケルター『もう終わり?そんな訳無いわよね。ほら、立って!』
エルザ「ぅぐ…。キッツいねぇ…」
何度か、立とうと試みるエルザだったが、満身創痍の身体は起こせなかった。
それを見かねたヘルタースケルターが、エルザの首を掴んで宙に掲げる。
エルザ「…ぐぁ……っ!」
ヘルタースケルター『ちゃんとエスコートしてくれないと』
そして、ヘルタースケルターがエルザを投げ飛ばそうとする。
エルザ (…ケイト……)
そして、ヘルタースケルターがエルザから手を離し、投げ飛ばそうとした瞬間、エルザの姿は掻き消えていた。




