第79話「追走劇」
ヘルタースケルターを追って、エルザは、バイクを走らせていた。
エルザが、後ろに乗せた小雨丸に向かって大声で問いかける。
エルザ「暮雨は?!」
小雨丸も、負けじと怒鳴り返す。
小雨丸「シュヴァリエ邸に!!セバスチャン殿に預けて参りました!!」
エルザ「馬鹿だねぇ!!そのまま暮雨の奴に付いててやれば良いのに!!」
小雨丸「主命です!!我らが長は、エルザ殿に助力するよう申し付けました!!」
ヘルタースケルターは、相変わらず黒の街の外壁に向かって飛び続けている。
エルザ「そうかい!!じゃあ、一つ頼まれな!!!」
小雨丸「何なりと!!」
エルザが、急にバイクを止める。
小雨丸「エルザ殿?!」
エルザ「これから、奴を黒の街の主要施設のどれかに誘い込む。住人を避難させとくれ」
月明かりを浴びながら、エルザが振り返った。
エルザ「大変だと思うが、いけるかい?」
小雨丸「言った通り、エルザ殿をお助けするのが主命なれば。命に替えてもやり遂げまする」
小雨丸が、力強く頷いた。
エルザ「じゃあ頼んだよ。行きな!!」
小雨丸の姿が、消え失せる。
早速、動いたのだ。
エルザ「さぁ、長い夜になるね」
エルザが、再びバイクを走らせる。
そのまま、勢いに任せて近くにあった階段を駆け上がると、エルザは、バイクごと建物の屋根に乗り付けた。
エルザ「降りてきな!!このクソッタレ!!」
エルザが、屋根の上を猛スピードで疾走する。
ヘルタースケルター「うふふ。だーめ!鬼ごっこだもの!簡単に捕まっちゃったらつまらないわ」
エルザ「はっ!子供の遊びに付き合うほど暇じゃないんだよ!!こっちは仕事が溜まってるんだ!!」
ヘルタースケルター「じゃあ、ガス抜きしないとね!たまにはちゃんと休まないと!」
エルザ「お前を殺した後にゆっくりと休ませてもらうとも!!」
エルザはジャンヌ・ダルクを口にくわえると、バイクを加速させた。
轟音とともに夜空に舞い上がったバイクは、黒の街の時計塔の壁面に接地すると、砂煙を巻き上げながら、鐘楼の屋根を目指して螺旋状に駆け上がる。
屋根まで登りきったバイクは、屋根の傾斜を利用して、緩やかな放物線を描きながらヘルタースケルター目掛けて飛びかかった。
エルザ「もらった!!!」
ヘルタースケルター「きゃあ!」
ヘルタースケルターにバイクごと飛びかかったエルザは、ハンドルを掴んだまま半身を乗り出し、ヘルタースケルターに蹴りを見舞った。
ヘルタースケルターは、それを広げた傘で受ける。
両者ともに、黒の街の外壁目掛けて吹っ飛んだ。




