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第77話「東雲の末期」

ジェラルドの亡骸を抱えながら身じろぎ一つせず座り込むスマイルの前に、立ち尽くすエルザ。

その肩に、手が置かれた。



マルコシアス「エルザ。ボーッとしてる暇ねえぞ。ここは俺たちに任せておけ。お前はヘルタースケルターを頼む」


エルザ「…ああ」


マルコシアス「……」



スマイルに背を向け、立ち去ろうとするエルザ。

すれ違いざまにマルコシアスの横で口を開く。



エルザ「…ぶん殴らなくていいのかい」


マルコシアス「殴って欲しいのか?」


エルザ「……」



マルコシアスのもとに、ドライフラワー患者たちを粗方片付けたファミリーたちが帰ってくる。

マルコシアスは、エルザに向かって鍵を(ほう)った。


彼のクラシックカーのキーである。



マルコシアス「甘ったれんな。お前はお前のやるべき事をやれ。ケジメをつけろ」


エルザ「…ああ」


マルコシアス「帰ってきたら何発でも殴ってやるよ」


エルザ「楽しみにしとくよ。…うちの、任せてもいいかい?」


マルコシアス「嬢ちゃんか?ああ、任せとけ。」


エルザ「恩に着るよ」



劇場の出口へと向かうエルザ。

その背中に、ゾエが声を掛ける。



ゾエ「エルザ様っ!どうか、どうかご武運を!!」



怪我をしていない方の手を挙げ、背中越しに声に応えるエルザ。


振り返らず、劇場跡を出ると、停めてあったマルコシアスのクラシックカーにキーを挿し、エンジンをかける。

ヘッドライトが灯り、マフラーから煙が立ち上る。


車は、黒の街を走り始めた。


走るエルザが目指す先は、八咫烏神社である。



__10数分後、八咫烏神社



エルザ「…何があったんだい」



エルザが、石段を上りきり、八咫烏神社の境内(けいだい)に踏み込むと、そこには、(おびただ)しい数のドライフラワー患者たちと忍びたちの遺体が、地に伏していた。


その中心には、傍目(はため)にもわかる致命傷を負いながら立ち尽くす、ジ・エンターテイナーの姿があった。



エルザ「何があった」



エルザが、ジ・エンターテイナーに歩み寄る。



ジ・エンターテイナー「負けた」



ジ・エンターテイナーは、燃え盛る空を見上げながら呟く。

その右手には、折れた散牡丹が握られていた。



ジ・エンターテイナー「奴は本殿だ。…任せるぞ。白薔薇の」



ジ・エンターテイナーが、倒れ込む。

見下ろすエルザの表情は、炎の照り返しで影になって見えない。



エルザ「任せな」



エルザが、本殿に向かって参道を歩いていく。



最終決戦は近い。

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