第74話「joker」
ドライフラワー患者たちの向こうから、エルザとマルコシアスを睨むスマイル。
スマイル「エルザ君。君は以前、ボクに問うたね。何が目的か」
マルコシアス「耳を貸すなエルザ。どう切り抜けるか考えろ」
エルザ「あぁ」
スマイル「ボクは、ここで君たちを確実に始末する。でなければ、ボクが死ぬ。だから、教えてあげよう」
マルコシアス「来るぞ!!」
スマイルが、両手の全ての指にボール状の物を挟み、構える。
スマイル「弟のためだ」
エルザ「ッ!!」
スマイルが、ボールを一斉に投げた。
マルコシアス「させるか…!」
マルコシアスが、魔具でボールを全て撃ち落とす、が。
中からは大量の煙が吹き出た。
マルコシアス「なに?!」
エルザ「全員、息を止めな!!!」
あっという間に広がる煙幕。
エルザは、ジャンヌ・ダルクを構える。
エルザ「ジャンヌ…、ッ?!」
スマイルが、ゾエを狙っていた。
少し距離の空いたゾエのもとに飛び込み、胸の前に立てたジャンヌ・ダルクを振り下ろす。
金属にあたる手応えがあった。
どこか遠くで、煙越しのくぐもった声が聞こえる。
ダンテ「可燃性かもしれねぇ!!」
マウリツィオ「銃は使うな!!」
そして、目の前からも声が聞こえた。
スマイル「ジェラルドって言ってね。ボクの7つ下の弟だ。ボクの唯一の家族」
ジル・ド・レェでジャンヌ・ダルクを受けながら、エルザを睨むスマイル。
スマイル「弟はドライフラワー病でね。治してやらなきゃならない」
エルザ「チッ…!!」
剣を弾いて距離を取ろうとするエルザだったが、スマイルは執拗にエルザと超至近距離を保っていた。
そのまま、スマイルはゾエを狙い続ける。
スマイル「この黒の街には、他と比べて豊富な資金と資源と人材、そして温室が揃っている。ボクはそれを、弟の為だけに使いたい」
エルザ (何とか煙を散らさないと…!)
スマイル「君たちを亡き者にして、黒の街の全機能を掌握する。それがボクの狙いだ。ヘルタースケルターの準備が整い、臨時政府からも接触があった。暮雨に地下の施設を嗅ぎつけられてしまったし、何より、弟が限界だ」
スマイルを狙うエルザだったが、スマイルはゾエを盾にするように回り込んで避ける。
スマイル「今しかないと思った。あのパレードで、暮雨のことは確実に葬るつもりだったし、ドライフラワー患者どもを街の全域に配置して街を実効支配下に置くつもりだった」
エルザ「っ!!!」
ゾエを自分の後ろに下がらせ、庇いながら戦うエルザだったが、スマイルはそれでもゾエを狙ってくる。
スマイル「だが、蓋を開けてみればあのザマだ。君の存在が、常にボクの描いた絵を狂わせる」
エルザ「っ!!ぐ…っ!!」
スマイル「ボクの書いたシナリオを乱す」
エルザ「くっ……!!」
スマイル「目障りなんだよエルザァあっ!!!!」
スマイルの姿が掻き消える。
エルザが障壁を張ろうとするが、エルザの読みが外れる。
スマイルは、エルザの背後にいるゾエではなく、超至近距離にいたエルザを正面から狙った。
激突。
風圧で、その一帯だけ少し煙が晴れる。
そして、そこに見える人影は、1人分多かった。
マルコシアス「奇遇だな。俺もお前が目障りだぜ」
スマイルの剣を受け止めるカードに描かれた絵柄は、ジョーカーだった。




