第65話「忍び、散る」
小雨丸を後ろから襲った凶刃の前に身を投げ出す暮雨。
暮雨「ぐっ…ぁ!」
小雨丸「暮雨様ぁ!!!」
小雨丸の悲鳴が、炎を引き裂いた。
ジョナサン「おっと。これは重畳。思わぬ大物が釣れました」
ジ・エンターテイナー「てめぇ!!!!」
ジョナサンに斬り掛かるジ・エンターテイナー。
ジョナサンは、ジ・エンターテイナーの振るう散牡丹を避け、距離を取った。
小雨丸「暮雨様!!暮雨様!!」
暮雨「狼狽えるな……!かすり傷だ……。ぐぁあ……!」
ジ・エンターテイナー「喋るな阿呆!!」
群がってくるドライフラワー患者たちを斬り払うジ・エンターテイナー。
ジ・エンターテイナー「小僧、そいつを連れて下がれ!!」
小雨丸「暮雨様!!」
暮雨に肩を貸して立たせる小雨丸。
暮雨「まだ…やれる…!」
ジ・エンターテイナー「足手まといだ!!とっとと失せろ!!」
ドライフラワー患者を近づけないように戦いながら、ジョナサンに睨みを効かせるジ・エンターテイナー。
フィガロとヘルタースケルターは、それを遠目から眺めていた。
ヘルタースケルターが、フィガロに声を掛ける。
ヘルタースケルター「大丈夫?」
フィガロ「面目ありません、同志よ…。魔力が尽きました。一度、体勢を立て直す事を進言します」
ヘルタースケルター「んー、でも、もうちょっとであの人たち、お友達になってくれそうよ?」
フィガロ「同志、あの者の持つ魔具は危険です。もし、貴女が倒れれば、同胞たちは寄る辺を無くすのですよ」
ヘルタースケルター「そしたら、また増やせば良いだけじゃない?」
フィガロ「…同志」
ヘルタースケルター「んー、まぁしょうがないわね。貴方は帰っていいわ」
フィガロ「…そういう訳には行きません。私は同志と共に在らねば」
ヘルタースケルター「あら。友達思いの良い子ね。ありがとう」
忍びたちが動く。
忍び1「小雨丸!暮雨様を逃がすのだ!!」
忍び2「道は我らが切り開く!時は我らが稼ぐ!」
忍び3「行け!!」
忍びたちが、捨て身でドライフラワー患者たちに攻撃を仕掛ける。
暮雨「お前たち…。止せ…!」
小雨丸「くっ…!!!御免!!」
暮雨を背負って駆け出す小雨丸。
その後を追おうとするジョナサンだったが、ジ・エンターテイナーが立ち塞がる。
ジョナサン「退いて頂きたい。鴉は、ここで何としても潰して置かねば」
ジ・エンターテイナー「断わる。…てめえ、何者なんだ」
向き合う両者。
ジョナサン「臨時政府の者です。分かったら邪魔立てしない方が身のためですよ」
ジ・エンターテイナー「あぁ?臨時政府の狗かよ。ったく、誰に物言ってやがる。口の利き方がなってねえな」
ジョナサン「やれやれ…。まあ。この分だと放っておいてもどの道、鴉は瓦解するでしょう。それに、私の最優先目標は彼ではありません。私の目的は…、ヘルタースケルター。彼女です」
ジ・エンターテイナー「あ?」
ジョナサン「どうです?一時的に、手を組みませんか?」
ジョナサンが、ヘルタースケルターの方を見やりながら言う。
ジ・エンターテイナーが答えた。
ジ・エンターテイナー「やなこった」
炎が、黒の街を照らしていた。




