第63話「裏切りの白刃」
八咫烏神社にて奮戦する暮雨たち。
しかし、圧倒的な物量差で、少しずつ押し込まれていた。
ジ・エンターテイナー「っはぁ…!はぁ…!やけに多いじゃねえか…!!」
暮雨「…はぁ…。…はぁ…。逃げても責めぬぞ?…っはぁ…。僕一人でも十分よ…」
ジ・エンターテイナー「…笑わせやがるぜ。…貴様がくたばる…ところを…。見逃すわけには行かねぇからな…」
暮雨「ならば構えろ。…、来るぞ…っ!」
石段を塞ぐように燃えていた炎が、逆巻く。
その向こうから姿を表したのは、ヘルタースケルターだった。
まるで、散歩でもするかのような足取りで歩を進めるヘルタースケルター。
そして、その後ろから従者のように歩みを進めるフィガロ。
ジ・エンターテイナー「…二人足りねぇんじゃねえか!?…、自慢のお友達はどうした!!」
ヘルタースケルター「ご機嫌よう。ベアトリーチェなら他で遊んでるわ。ブラックジョークは…。あの子は、お友達じゃ無くなった。私、とっても悲しい」
暮雨「…、僕に、ライムライトと引き換えに散牡丹を譲り渡したくらいだからな」
散牡丹とは、ジ・エンターテイナーの手の中にある刀の銘である。
ジ・エンターテイナー「これの出処はあのローブ野郎か。貴様と取り引きしたのかよ。…、やっぱり貴様はいい趣味してやがる」
ヘルタースケルター「ふふっ。貴方たち、とっても仲が良さそうね。私ともお友達になって下さる?」
ジ・エンターテイナー、暮雨「「断る!」」
顔を見合わせる暮雨とジ・エンターテイナー。
ジ・エンターテイナー、暮雨「「貴様と仲良くしたつもりは無い!!」」
ジ・エンターテイナー「ふざけるな貴様!」
暮雨「貴様こそ遊んでいる場合か!!」
ヘルタースケルター「そう。お友達になってくれないのね」
暮雨「っ!!」
ジ・エンターテイナー「チッ!!」
傘を閉じて右手で無造作に構えるヘルタースケルター。
ジ・エンターテイナー「させるかよ!!」
暮雨「合わせろ!!」
ジ・エンターテイナー「癪に障るぜ!!」
ジ・エンターテイナーが、魔力を込めて散牡丹の能力を発動させる。
それは、生物以外につけた傷を、生物に移す能力。
ジ・エンターテイナーが移したのは、暮雨が、ジ・エンターテイナーを収容していた牢につけた傷だった。
フィガロ「同志!!!」
散牡丹の能力が発動した刹那、フィガロがヘルタースケルターの前に飛び出す、と同時に、フィガロが持つ鎌状の魔具、暴食の枝を自身に突き刺した。
フィガロ「グゥッ…!!!!!」
フィガロの身体から、鮮血が迸る。
そして、フィガロの身に纏う修道服に、大きく切れ目が入る。
ザックリと傷がつけられた修道服の下の服から素肌を覗かせるフィガロ。
肌は無傷だった。
フィガロ「ッハア…!!ッハア!!!」
ジ・エンターテイナー「なんだと…!」
暮雨「勘のいい…」
フィガロは、自身の上半身が両断された瞬間、暴食の枝の能力で、自身の体組織を作り替え、傷を癒したのだった。
暴食の枝を引き抜き、膝をつくフィガロ。
フィガロ(今ので魔力を使い果たした…!次はない…!!)
ジ・エンターテイナー「直接ぶった斬ってやらぁ!!行くぞ暮雨!!」
暮雨「ああ」
刀を構え直した次の瞬間、暮雨の背に悪寒が走る。
たまらず小雨丸の方を振り返る暮雨。
暮雨「…っ!!小雨丸!!」
小雨丸「えっ?!」
暮雨の視線の先には、小雨丸に向けられた凶刃があった。




