表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/105

第57話「共同墓所」

共同墓所。

どの自治区からも可能な限り対等な位置関係になる場所に建てられたその場所では、多くの死者が眠っている。


それは、白薔薇の団の団員たちも例外では無かった。



エルザ「以下、23名。団長命令に背いたものと見なし、白薔薇の団より除名処分とする」



共同墓所に新しく増えた23の墓標を前に、左腕を包帯で吊ったエルザが、風に吹かれながら声高に宣告を行っていた。



エルザ「そして、命を懸け、誇りを懸け、任を全うし、多くの命を救ったその功績を讃えると共に白薔薇の団、団長、エルザが敬意を表する。黒の街の名誉は諸君らの物である」



エルザが、一人一人の名前を呼んでいった。



エルザ「フェルナン・シュルク。ジュスト・サンティニ。アデール・トルナコ。リュシー・シソッコ。ロズリーヌ・カラズ。セシール・アッシュ。ミッシェル・ボラン。ヴィクトル・ドナデュー。アニエス・カラズ。ジュスト・マヌヴォー。ジャン・ルー=サン=ジョルジュ。アラベル・クペ。ロワイエ・グーノン。アダム・アングル。ダヴィド・ダレイラク。ブノワ・シフマン。ルノー・キファル。ルネ=ル・グーニュ。バルバラ・オーディアール。カトリーヌ・バディ。オーヴァン・マヌヴォー。ポーロ・ギルマン。プロスペル・ギベール」



エルザが、右手を胸に当て、敬礼する。

後日、黒の街の広場に、彼らの名前が刻まれた記念碑が立つのである。



エルザ「良く戦った。諸君らの任を解く。ゆっくり休め」



エルザが、墓に花を供えて回る。

その後ろには、白薔薇の団の団員たちが控え、無言で敬礼を送っていた。

どの団員も満身創痍で、痛々しい姿である。


やがて、献花を終えたエルザが、団員たちの方へ戻ってくる。が、そこへローランが血相を変えて駆け寄ってきた。



ローラン「エルザ様!急報です!!シュヴァリエ邸が襲撃を受けたとのこと!!敵勢力の正体、規模、共に不明!!」


エルザ「…」



エルザが無言で唇を噛む。

今、屋敷には、最低限の防衛要員が残っているだけで、白薔薇の団の戦力の大半がこの場にいるのだ。


ざわめきだす団員たち。

エルザがそれを一喝する。



エルザ「見苦しいよ!!」


団員たち「……」


エルザ「戦力を二手に分ける。一方は民間人に被害が出ないよう、シュヴァリエ邸の周囲を固めな。私は、少数の部隊を率いてシュヴァリエ邸の救援に向かう」


団員たち「……」



エルザを、固い面持ちで見つめる団員たち。

だが、エルザが余裕を失うことは無かった。


エルザが墓の方ちらりと見やり、団員たちに向き直る。



エルザ「散っていった奴らに恥ずかしいと思わないのかい。耳と口が付いてるなら返事をしな!!」


団員たち「「「御意!」」」


エルザ「さっさと動くんだよ!!」



白薔薇の団の正装を翻して駆けていく団員たち。

エルザも動き出すが、一瞬だけ、共同墓所のある一角の方を振り返る。



エルザ「…悪いね、ケイト。すぐ戻るよ」



呟きが、誰の耳に留まることもなく消えていく。


そして、エルザも黒の街へ戻るべく、車へと駆けて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ