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第52話「トランプ遊び」

エルザの自室、あれからしばらく。



エルザ「見て分かるだろ。左手が使えないんだよ」


マルコシアス「誰かに持たせりゃ良いじゃねえか。トランプなんて右の親指さえありゃ出来る」


暮雨「(やつがれ)も、いまいちポーカーは好まぬ。配られた手札を交換出来るというのがどうにもな」


マルコシアス「何だよ。五大組織の長が揃いも揃ってトランプ遊びも出来ねえなんて、もの笑いの種だぞ」


エルザ「言ってくれるじゃないか。どうせイカサマやらかす癖して」


マルコシアス「おいおい。イカサマは駆け引きのうちだ。見破れねぇ方が悪い」


暮雨「そもそも博打は好かぬ。金銭は真っ当な労働の対価として受け取るべき物だ」


マルコシアス「金なんて賭けるかよ。つーかお前さん、働いたことあんのか?」


暮雨「うむ。まだ若かりし時分、社会を知るためにな。かふぇーで働いていた事が御座る」


エルザ「あっははははは!茶でも点ててたんじゃないのかい!」


暮雨「何故分かった!?」


マルコシアス「マジかよ」



そこへ、控えめなノックの音がする。



エルザ「入りな」


マルグリット・ゾエ「失礼致します」


ゾエ「軽食をお持ちしました」


エルザ「ご苦労」



手際よく、3人の前の机に、非常食のあり合わせで調えられた軽食を並べていくマルグリットとゾエ。

そんな2人をよそに雑談を続けるエルザ達。



マルコシアス「なぁ。このお嬢さん方もお招きするってのはどうだ?野郎ばかりでむさ苦しいしよ」


エルザ「へーぇ。そりゃどういう意味だい」


暮雨「ま、まぁ。僕は構わぬ。淑女方次第であろう」


エルザ「だってさ?」


マルグリット「そ、そんな!恐れ多いです!私なんかが…」


マルコシアス「ハハハ!んな畏まることはないさ。たまにはこういう日があってもいいだろ。なぁ?」


エルザ「招かれときな。嫌だったら良いけどね」


ゾエ「それでは。遠慮なく」


マルグリット「ゾ、ゾエ!じゃあ、私も…!」


マルコシアス「そうこなくちゃな」



(にわか)に、黒の街が騒がしさを取り戻していた。

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