第45話「ペンは剣よりも強し」
その後も、衝突を繰り返したスマイルとエルザ。
始めに対峙していた場所と変わらない位置に立ち、刃を向け合う2人だったが、その様相は、最初とは大きく変わっていた。
エルザ「随分しおらしくなったじゃないのさ。いい加減、観念して洗いざらい吐きな」
スマイル「ハハッ…。しつこいね。タネを、それも上手くいかなかったタネを明かすような真似はしないよ。ボクは」
スマイルが両手を軽く広げて、周りを指し示す。
スマイルの周りには、激しい戦闘の跡と、壊れた魔具の残骸が転がっていた。
スマイル「それに、君はワガママだ。あれもダメ、これもダメ…。流石のボクも自信無くしちゃうな」
エルザ「欲張りなのは性分でね。そっちもだろ?」
スマイル「ハハッ。まあね。だから、どうしても君を這いつくばらせた上で泣いて謝らせてみたい」
エルザ「…やってみな」
びっくり箱のような形の魔具を取り出すスマイル。
エルザがスマイルに切りつけるが、手応えはなく、ふざけたパフ音と紙吹雪が飛び散るだけだった。
エルザ「懲りないねぇ!!」
振り返るエルザ。
スマイル「いいや懲りたさ!!」
エルザ「っ!!」
今までの何度かの激突で、スマイルは姿を消した後には執拗にエルザの背後を取っていた。
今回もエルザは背後を振り返ったが、スマイルの声は頭上からだった。
とっさに横に転がり、避けようとするエルザだったが、先程のびっくり箱から飛び散った紙吹雪に魔力が流され、思うように動けない。
エルザ「くっ!!」
スマイル「もらったぁ!!!」
スマイルが巨大なペンの形をした魔具で殴り掛かる。
エルザは、とっさにジャンヌ・ダルクではなく左手で受けた。
スマイル「ハハッ!勘のいいことだね!!」
エルザ「チィッ…!」
1歩下がるエルザ。
スマイル「こいつは『ペンは剣よりも強し(リシュリュー)』って言ってね。基本的にはただの棒だが…。剣の形をした物に限って、接触させるだけで文字通り塵に出来るんだ。ハハッ…。泣いて謝る気になったかな?」
エルザ「誰が。あんたの悪趣味さ加減には涙が出るけどね」
スマイル「それはそれは…。気が合うじゃないか。ボクも君の趣味は個人的に頂けないなと常々思っていたんだ。秩序だなんだとお上品ぶっておいて、自分勝手な正義を押し付ける。君が善人ヅラでバラまいてるライムライトも、あれ、臨時政府とかから奪ってきたものだろ?貴族か何かの真似事をしてるつもりかもしれないが、中身は大人のふりした子供だね」
エルザ「大人のフリした子供か。その言葉、そのままそっくり返すよ」
スマイル「ハハッ。生憎だけど返品は受け付けてないんだな」
エルザは左腕を庇っていた。




