第43話「薔薇と造花」
山車の上の戦い。
エルザVSスマイル。
スマイル「見てご覧よ。まるで花車だ。夢の中そのものじゃないか」
エルザ「あぁ、悪夢の中そのものってやつだ。寝言は寝て言いな」
スマイル「ハハッ。麗しい薔薇も1輪、咲いてるには咲いてるけど…棘が鋭すぎるようだね」
エルザ「口説いてんのかい?虫唾が走るからやめて欲しいね」
スマイル「口説く?ハハッ。ご冗談を。まぁそれを言うなら、今まさに君は死神に口説かれているってところかもね」
エルザ「へぇ?悪くない。私に釣り合うとは思えないけど」
スマイル「いやいや…。良くお似合いだよ」
爆風がエルザの後ろ髪を揺らす。
エルザ「スマイル。いったい何が目当てだい。何を企むにせよ、上手くいきっこ無い事ぐらい分かんなかったのかい?」
スマイル「分からなかったね…。まさか、君たちがこうも簡単に結束するとは思ってもみなかった。君と、マルコシアス君と、暮雨君と…。五大組織間のパワーバランスや利権…。信用。もっと慎重に動くと思っていたよ。というか、鴉の連中にしてやられたね」
エルザ「あんたは派手にやり過ぎたんだよ。というか、リスクを冒し過ぎた。らしくないんじゃないのかい」
スマイル「ハハッ…。らしくない、か。僕の道化ぶりも捨てたものじゃないね。まぁ、ちょっと焦ったのは否定しないが」
エルザ「ったく。前口上が長いんだよ。いい加減、何が目的で何故こんなことをしたのか洗いざらい吐きな」
スマイル「別に…。知る必要ないじゃないか。これから君は死ぬんだし」
エルザ「おや。てっきりあんたが死ぬもんだと思ってたよ」
スマイル「ハハッ…。相変わらずユーモアのセンスが抜群だ…」
スマイルが、どこからともなく一振のサーベルを取り出す。
それは、エルザが見慣れた物だった。
スマイル「でも、僕のユーモアのセンスも、負けず劣らずだと思うよ」
エルザ「…悪趣味だねぇ」
スマイル「ハハッ。せっかくの晴れ舞台だ。ついでに我がSSS(Super Smile Service)の製品のお披露目といこう。これは『救われ損ない(ジル・ド・レエ)』って言ってね…。どんな魔具かは言わなくてもわかるだろ?君をこいつで血祭りに上げた暁には、量産して売り出す予定だ。だから、オリジナルの作者にも宣伝してきてくれたまえ」
エルザ「クソピエロが。お前が地獄で勝手に宣伝してな」
エルザがジャンヌ・ダルクを抜き放ち、胸の前で立てる。
スマイルも、同じ構えをとった。
今、パレードのクライマックスに、一輪の薔薇と、それを模した造花が咲こうとしている。




