第34話「山車」
エルザ達が異変に気付いたのは、スマイル達の乗る山車が南エリアを半ば過ぎようとしていた時だった。
ローラン「エルザ様。スマイルの乗る山車と同じ山車が、もう一台西エリアに出現しました」
エルザ「何だって…?いや、パレードなんだから山車が何台も出てくるのは不思議じゃないが…」
ローラン「……。もしかしたらですが、スマイルは山車を、黒の街の全てのエリアに配置するつもりかもしれません」
エルザ「なに?」
ローラン「いえ、あくまで思いつきですが」
エルザ「ふむ…。時計回りにぐるっと配置して…。中央エリアを囲む?何のために…?いや、中央にも配置するつもりか…?」
しばらく考え込むエルザ。
だが、やがて何かに思い当たったのか、ハッと顔を上げる。
エルザ「まさか…!」
ローラン「エルザ様?」
エルザ「山車…!やられた!!大きく賭けたねスマイルの奴…!!」
ローラン「どうかしましたか、エルザ様?」
エルザ「ローラン!!今すぐ白薔薇の団全員に通達!!山車に民間人を近づけるんじゃないよ!!」
ローラン「は、はっ!!」
ローランが魔具を使って通信を始める、が。
ローラン「駄目です!エルザ様。山車の周りは騒ぎが大きすぎて、近づけないそうです!」
エルザ「クソッ!……マルコシアスに繋ぎな!!」
ローラン「はい!」
ローランが、魔具をマルコシアスに繋いで、エルザに手渡す。
マルコシアス『よう。どうした』
エルザ「よく聞きなマルコシアス!スマイルはドライフラワー病罹患者をあの山車の中に潜ませてるよ!!」
マルコシアス『なんだと…?!じゃああの中はドライフラワー患者の詰め合わせか!』
エルザ「そうだ!!スマイルは山車を黒の街全域に配備して、ドライフラワー病罹患者を放出する気でいる!!早く観客を避難させないと大変な事になるよ!!」
マルコシアス『お前さんのとこの団員じゃ手が足りてないのか!!』
エルザ「ああ…!悔しいけどね!人だかりが凄すぎて近づけない!!」
マルコシアス『…分かった!山車は今、南だな?俺に考えがある』
エルザ「任せて良いんだね?」
マルコシアス『ああ。南は俺たちファミリーのシマだ。あの短足野郎の好きにはさせねえさ』
エルザ「頼む…!!」
マルコシアス『任せとけ!お前さんも気を付けろ!!通信終了』
マルコシアスとの通信が切れる。
エルザ「私達も直ぐに南エリアに向かうよ!!」
ローラン「はい!現場の者達に伝えます!!」
エルザ「鴉にも伝えな!!」
近くに停めてあった車に向かう二人。
パレードの熱狂は、最高潮に到達しようとしていた。




