第33話「祭りの外」
北エリアと西エリアの間にそびえる防壁の上の通路。
そこに、エルザとローランが、白薔薇の団の正装を風にはためかせながら立っていた。
街を見下ろすエルザとローラン。
エルザ「随分とまあ、派手にやってるね」
ローラン「エルザ様。スマイルの山車は、西エリアから南エリア方面に移動しているようです」
エルザ「ああ。どうやら街を時計回りに回るつもりのようだね」
ローラン「恐らくは。南エリアから中央エリアを経由して北か東に向かうルートも考えられますが」
エルザ「何を考えてるのかはさっぱり分からないが、民間人に被害が出るのは何としても避けたい。いざとなったら北は捨てるよ」
ローラン「はっ。そのように通達致します」
エルザ「それにしても…。暮雨から届いた書状。未だに信じ難いね…」
ローラン「暮雨様は、何と?」
エルザ「……。スマイルとヘルタースケルターは、ドライフラワー病罹患者をある程度コントロールする術を持っている可能性が高い、と」
ローラン「それは…。確かに俄には信じ難い話ですね」
エルザ「しかし、辻褄は合う。セバスとアドリエンヌの報告にあった、統制のとれたドライフラワー病罹患者。温室に出入りしていたスマイル。何より、この情報は暮雨が掴んだ物だ。信憑性は高い」
ローラン「だとしたら、これまでにない厳しい戦いになりますね」
エルザ「ああ。まあ、うちに、相手がドライフラワー病罹患者だからって油断するような馬鹿は居ないよ。…しかし、解せないのはスマイルの狙いだ。山車に注意を惹き付けておいて、その隙にドライフラワー病罹患者を使ってどこか他の場所を落とすつもりか…?」
ローラン「温室のドライフラワー病罹患者や、その研究成果が目当てでしょうか」
エルザ「いや、違う気がするね。……。他に考えられるとすれば、シュヴァリエ邸や八咫烏神社といった、五大組織の拠点だが…。こんな大仰なことをしてまで奪う場所じゃない。他にスマイルが欲しがる物…。ふむ。金に困っていたようだが…」
ローラン「ライムライト保管施設でしょうか」
エルザ「あぁ…。その線はあるかもね。とはいえ、当て推量でこれ以上人員を割く訳にもいかないが」
ローラン「一応、担当の者達に警戒を強めるよう通達しておきます」
エルザ「頼むよ。……どうにも嫌な予感がするねぇ」
エルザの眼下の街が煌めく。




