第32話「パレード」
某日、夜。
黒の街、西エリア『ソレイユ・マルシェ』。
スマイル「さて、これが最後の警告だが…。パレードが始まれば後戻りは出来ない。ボクに着いてくれば、もれなく君たちは道連れだ。それでも来るのかい?」
リトル・トラジティ「くどいよ団長。こんな楽しそうなお祭り、アタシだけのけ者なんて絶対にヤダからね」
ジ・エンターテイナー「別に貴様に着いて行っているつもりは毛頭ねぇ。俺は、俺の目的のために貴様を利用しているだけだ。思い上がるな」
スマイル「ハハッ。2人とも言うじゃないか。分かったよ。野暮だったね」
リトル・トラジティ「そーそー。団長はいつも通り、アタシを楽しませてくれればいーの」
ジ・エンターテイナー「さっさと始めろ。今夜は長くなる」
スマイル「オーケー。それじゃ…、ショーの始まりだ!!」
スマイルの合図と同時に、黒の街の至る所から花火が上がり、バルーンが次々に舞う。
どこからともなく現れたピエロ達が家々の屋根から紙吹雪をまき、賑やかな音楽を奏でながら曲芸を披露する中、スマイル達の乗った巨大な山車が、派手な火花を吹き出し、夜空に強力な光線を放ってライトアップをしながら、無数の着ぐるみやキャラクター達と共に行進を始める。
まるで、黒の街に昼が訪れたかのようだった。
スマイル『レディーーース&ジェントルマーーーーーン!!そして良い子のみんなーーーーー!!!ピエロのスマイルだよーー!!今日はみんな、たくさん楽しんでねーーー!!!!』
派手な音と共に、山車に備え付けられた大砲のような派手な筒から、キャンディーやお菓子が勢いよく吹き出し、観客の頭上に降り注ぐ。
黒の街の住民達『『『『ーーーーーーー!!!!!』』』』
黒の街は、未だかつてない喧騒に沸いていた。
観客たちは、息を忘れ、あらん限りの歓声を振り絞り、大人も子供も、女も男も、老いも若きもなく、豪華絢爛なパレードに酔いしれていた。
スマイル(見ているかい?ジェラルド。…いや、見ていないだろうな。大丈夫だ。お前を人間に戻したら、兄ちゃんがいくらでも、毎日でもこの光景を見せてやる。だから、もうしばらくの我慢だ。ジェラルド)
リトル・トラジティ「フーーー!いぇーーーー!!みんなのアイドル、リトだよーー☆」
ジ・エンターテイナー「…フン。祭りは好かねえ。…スマイル。まだか」
マイクの電源を切ったスマイルが言う。
スマイル「もうすぐだ。クライマックスをすぐに見せてしまったんじゃ、勿体ないからね。山車が北エリアに差し掛かったら、だ」
ジ・エンターテイナー「そうか。果報は寝て待てとも言うしな。いいだろう」
スマイル「ハハッ。君も手ぐらい降ったらどうだい?」
ジ・エンターテイナー「ジョークが過ぎるな。俺は中にいるぞ。何かあったら呼べ」
スマイル「ああ」
リト「やっほーーー!!」
パレードが始まった。




