第30話「カトレア・ル・シャトリエ」
執務室にて、ジャンヌ・ダルクを手入れするエルザ。
このサーベルは、とある記念日に、エルザの過去の恋人であったカトレアから贈られた物だ。
エルザは、カトレアとの思い出に浸っていた。
それはエルザが、ジャンヌ・ダルクをカトレアから贈られた日の事。
カトレア「エルザ。今日、何の日か覚えてるかしら?」
過去のエルザ「うん。私たちが出会った日でしょ。忘れる訳ないよ」
カトレア「あら、嬉しい!作った甲斐があったわ」
カトレアが、細長い包みをエルザに差し出す。
過去のエルザ「わっ、プレゼント?」
カトレア「そうよ。あなたのために作ったの」
過去のエルザ「嬉しい!ねぇ、ケイト。開けてもいい?」
カトレア「そう聞かれると意地悪したくなっちゃうわね。…じゃあ、ここでキスしてくれたらいいわよ」
過去のエルザ「ええっ、恥ずかしいよ…」
カトレア「うふふ…。もう…、可愛いわね」
カフェの小さいテーブルに、カトレアが身を乗り出してエルザに囁く。
カトレア「家で、二人で開けましょ」
過去のエルザ「うん!」
帰る道すがら、2人は取り留めのない言葉を交わし合いながら歩くのだった。
カトレア「早いわね。まだ10代だったエルザが、もうすぐ大人のレディだもの。私も歳をとるはずね」
過去のエルザ「ケイトは幾つになっても素敵だよ」
カトレア「うふふ…。エルザもね。一緒に、素敵に歳をとっていきましょ」
過去のエルザ「うん」
そしてカトレアのアパルトメント。
包から姿を表したジャンヌ・ダルクは、今、エルザの手の中にある物と変わらない輝きを放っていた。
過去のエルザ「凄く…綺麗…」
カトレア「あなたに良く似合ってるわ」
過去のエルザ「ありがとう!ケイト!私、今日のこと忘れないよ…!」
エルザ「…………。忘れないさ。ずっと」
ジャンヌ・ダルクを鞘に収めたエルザは、それを腰に帯びる。
エルザ「貴女が愛してくれた私に恥じないように。戦うさ」
黒の街が、エルザを待っていた。




