第28話「宴の前」
スマイルと入れ違いで、セバスチャンとアドリエンヌがシュヴァリエ邸に帰ってくる。
エルザの執務室。
セバスチャン「遅くなりまして申し訳ございません」
エルザ「戻ったねセバス。報告を」
セバスチャン「御意。エルザ様より仰せつかったライムライト輸送の任につきましては、予定通りでございます。ですが…」
アドリエンヌ「襲われたわ。ボスの言ったとおり、ホットな現場だったわよ」
エルザ「そいつは何よりだったね。相手の正体は掴めたのかい?」
アドリエンヌ「当たり前じゃない。ドライフラワー患者だったわ」
セバスチャン「先のライムライト輸送隊の報告にもありました通り、見慣れぬ魔具を用いており、更に統制が取れているように見受けられました」
エルザ「…へぇ?」
細い顎に指をあてがうエルザ。
エルザ「こいつは…。役者が揃いつつあるね」
アドリエンヌ「ねぇ、ボス」
エルザ「なんだい」
アドリエンヌ「前菜はそれなりに美味しかったけど、メインディッシュはまだお預け?そろそろ痺れを切らしちゃいそうよ。私」
エルザ「はは…。少しばかり食い意地が張りすぎなんじゃないかい?」
アドリエンヌ「イイ女は欲張りな物よ。そうでしょ?」
エルザ「……」
アドリエンヌ「……」
しばらく、執務机を挟んで見つめ合う二人。
沈黙の後、エルザが口を開いた。
エルザ「まぁいいさ。そういうと思って、晩餐会の招待状をとっておいたんだ」
スマイルのビラを取り出し、机の上に広げるエルザ。
エルザ「ご馳走の代わりにゲテモノが振る舞われるんだろうがね」
アドリエンヌ「あら。ゲテモノって、見た目はともかく美味しいのが多いのよ?意外と」
エルザ「で?メニューはお気に召しそうかい?」
アドリエンヌ「ええ…。まあまあじゃない…」
エルザ「そうかい。じゃ、準備しな。パレードは三日後だよ」
アドリエンヌ「OK。ボス」
セバスチャン「御意に」
セバスチャンとアドリエンヌが執務室を後にする。
時計の針が進む音が、部屋に響いていた。




